第17話、精霊の呪縛


「ある程度、魔力のコントロールができれば可能だと思います。

精霊の力を借りる。精霊は一つしか呼べない。

そういう呪縛から離れればいいんです」


「よし、手を貸せわしの番じゃ。

『シャドウ!』」


「これは…影の中ですか!」


「ああ、明るく見えるところが影になっているところじゃ。影になっているところから潜り、別の影から飛び出す。

やってみろ」


「ああ、できます。なるほど。

じゃあ、そろそろ一度帰りますけどいいですよね。また遊びがてら情報をいただきに来ますけど」


「週に一度は顔を見せてくれ。年寄りの相手はつまらんかも知れんけどな」


「はい。では、うーん、バルコニーか屋上って出られますか?」


「屋上ならこの上の階じゃが、どうするんじゃ?」


「本日の最終講座です。

風魔法の応用で、空を飛びます」


「なに!」


階段を上って屋上に出ます。


「イメージは手のひらと足の裏から風を噴出させて、それを強くしていきます。

こんな感じです」


「こ、こうか。

おお、浮いたぞ」


「コントロールが難しいので、練習は低いところでやってくださいね」


「お、おう」


「じゃあ、私はこれで」


「ああ、土曜の夕方を待ってるぞ」




「失礼します…

いかがなされましたか?」


「ん、どうかしたか」


「いえ、とても楽しそうなお顔なので」


「ああ、わしの魔法人生を覆す、とんでもない出会いがあった。

お前の属性は風じゃったか」


「はい」


「空を飛んだことは?」


「なにバカなことを言ってるんですか」


「そうだ、それが普通だよな。クックックッ

この年になって、これほどワクワクするとは思わなんだ」


「?」


「まあ、楽しみに待っていろ。

マリアの許可をもらったら、お前たちにも見せてやるから」


「はあ…」


「おっと、そういえば返すのを忘れておったわい」


「な、どこから出したんですかその剣は」


「ん、これか、尻の穴からじゃよ」





ギルドに寄ってみましたが、ライラは来ていないそうです。

掲示板を見ると、オーク3頭の討伐依頼がありました。

カウンターに持っていき、確認します。


「オークって美味しいんですか?」


「ええ、癖がなくって焼いても煮ても食べられますよ」


「買取は?」


「状態にもよりますが一頭丸々なら金貨2枚ですね」


「じゃあ、これ受けます」


森の中に入り、陰に潜ります。

影の中で飛ぼうと考えたんです。

息ができるってことは空気があるということで、思った通り風魔法が使えました。

ただ、見える景色が違うので、どこを飛んでいるのか分かりません。

例えば街道沿いに飛んでいると、見えるのは空だけです。

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