第13話、妹

「さて、壁は全面遮音で音を伝えないようにしてありますから、何を話しても大丈夫よ」


「マリアって何者?」


「ライアとは親密な関係にあるわ。今はそれしか言えないの。

マリーとジェシカ。こういえば想像できる」


ライラは首肯する。


「ジェシカ様はご健在なの?」


「元気よ、出産されて今は子育て中」


「男、女?」


「ノーコメント。まだ、あなたを完全に信用したわけじゃないの」


「そうよね。ジェシカ様が生きているという情報だけでも金貨10枚の褒章が出るもんね」


「やっぱり、帝国は諦めてないんだ」


「王族が現れれば、ミシティーの国民は帝国に反旗を翻す。

これは確実よ。

ジェシカ様以外の王族は皆殺しにされたから、ジェシカ様が生きているとなるとみんな戦の準備を始めるわ」


「ミシティーのエリアには、帝国軍が駐留してるの」


「数は減ったけど、それでも2000は残ってるわ」


「じゃあ、帝国の本拠を叩いた方が早いかもしれないわね」


「無理よ!帝国軍は兵力5万よ。次は南のシンドルを攻めようとしてるって噂。

帝国内に反対の声もあるらしいけど、皇帝が武力国家を強力に進めているから、表立って反対できないって聞くわ」


「じゃあ、皇帝の暗殺とか」


「十王と呼ばれる最強の側近で固めているらしいわ」


「十王?」


「一人はミシティーの元兵団長なんだけど、槍の達人らしいわ。

それ以外も属性ごとに魔法使いの頂点がいて、回復系の賢者の頂点がいて、剣技の頂点がいて、闇と光の魔法使いもいるわ」


「皇帝以外の王族は?」


「皇帝の弟がそっくりらしいの。影武者になっているんじゃないかって噂もあるわ。

王子が3人に王女が二人。

第三王子がこのエリアの領主におさまっているわ」


「大体、イメージはつかめたわ。

でもね、ジェシカは国民を戦に駆り立てることに反対なの。

だから、私が集めた情報をもとに、何が最善か考えるわ」


「お姉ちゃんが生きてるってことを、父と母に伝えてもいい?」


「まだ駄目、今は敵に情報を与えるわけにはいかないわ」


「だって、5年も待ってるのよ!」


「情報を伝えることによって、お父さんとお母さんに危険が及ぶかもしれないのよ」


「父と母だって、そんなの十分にわかってるわよ!」


ライラは外に飛び出していきました。

まいりましたね。

あそこまで感情のコントロールができないのでは、とてもあてになどできません。


ギルドで完了報告をして家に戻ります。


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