隣の家の不思議なシスターさんと不思議な関係
結月アオバ
隣の家の不思議なシスター
俺の家は、いわゆる町外れという場所にある。近くにコンビニとかはないし、買い物とかも結構遠くへ行かなかければならないのだが、まぁ俺は町外れ特有の静かな感じは好きだし、落ち着ける。
ちなみに、町外れのイメージとかを友達とかに聞いたら、「なんか寂れてる」だの「怪しい建物とか多そう」だのよく聞くが、そんなことはない。多分。ないと思いたい………。
ちらりと俺の部屋の窓から隣の家を覗く。そこからは、一匹の黒猫が何かを待っているように座っている。
その家は、所謂『教会』と呼ばれておりーーーーまぁキリスト教の人がおいのりとかしたり、懺悔したりするところだと思う……多分。だってあの教会の隣に長いこと住んでるけど、人が来たことなんてねぇし………。
「………ん?」
この教会は、至る所にツタが生えてるし、庭には雑草が節操なしに生えていて、人が住んでいる気配なんて一ミリもしないが、実はこの家には、一人の少女ーーーしかも、俺と余り変わらない高校生が住んでいる。
教会のドアが開くと、修道服に身を包んだ金髪の少女が出てきて、目の前にいた黒猫にわざわざ飯をあげていた。
………ご苦労なこって。
はぁ、と息を吐いて、窓から目を離そうした瞬間に彼女と目があった。内心『げ……』とか思ったが、彼女が笑顔でこちらに向かって手を振っているのを見ると、何故かはしらないけど彼女の元へ行きたくなってしまうような気がする。まぁ、どんなに彼女が不思議であろうがめちゃくちゃ美人だから、否応にも嫌な気持ちはしないわけで。
とりあえず、こくんとだけ頷くと、カーテンを閉めて直ぐに外へ出るために下へ移動する。
「あら、どこ行くのー?」
「ちょっと外」
「そう?気をつけてねー」
母さんからの返答を適当に済まして、外に出て、体を横に向けるーーーーと、既に彼女が猫を抱いたまま門の前に立っていた。
「こんにちは」
綺麗な声に思わず、ドキン!と心臓が跳ねるも、なんとか「こんにちは」と返した。
「……ん?なんか手とか不自然に汚れてるけど、何してたの?」
「ん……あぁ、これね」
視線を下に向けたら、白の手袋がやけに黒かったため、聞いてみた。
「今ね、なんとか悪魔を呼ぶための儀式をしているのだけれど……だめね、やっぱりイカスミでは触媒として不成立だわ」
「…………」
と、こんなふうにこのシスターさん。些か頭ちょっと逝ってるーーーーじゃなくて、かなり不思議なシスターさんである。
でもそんなイカレ要素ーーーーじゃなくて、不思議成分もこんな美人シスターなので、許せる。具体的に言うと、まぁそんな変な趣味があろうとも付き合えるくらいは許せるな。
まぁ?俺が選ぶ立場に来るなんて未来永劫来ないんですけど………。
「……まぁ悪魔はいいわ。とりあえずいらっしゃい。今朝、いい紅茶の茶葉が手に入ったの、一緒に飲みましょう?」
と、俺に微笑んでくるシスター。
これから、このシスターの関わって行くうちは、俺は多分この笑顔には叶わないんだろうなと、つくづく思い知らされる。
「……それじゃ、お言葉に甘えて行こうかな」
「……!う、うん!おいで!……やった!もしかしてこの前やった気になる人との接点を持てるようになる黒魔術って本当に効果が…!」
「どうしたの?」
「…っ、な、なんでもないわ……えぇ」
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