第320話 期待 -SIDE 傍観者

『ありがとう』

そう言ってあの子は上を向いて町を出ていった。


未練たらたらなあの子への叱咤激励。

幸せな未来への期待を膨らませ、

足がかりとして新天地の同業者のママを紹介してあげた。


ぶっちゃけ、あの子のこの先なんてどうでもいいの。

ただ、私が狙ってる男の周りをうろちょろしてほしくないだけ。



★☆★


動機が何であれ、『傍観者』が、

突然、『男』に捨てられて、居場所を無くした『女』に、

新たな居場所──金を稼ぐ手段を提供したのは間違いない。


町に居るままだと、『男』が考え直して、もう一度、よりを戻そうとしたり、

『女』が『男』に縋りつくって可能性もあるからね。



☆★☆


明日のお題は『悪影響』

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る