第236話 曖昧

宰相を務める御父様。

陛下の従妹にあたる御母様。

確かな地位と名誉ある家に産まれ、

高貴な血を引く私は、

来月には殿下と正式に婚約する。


それなのに、

狭い部屋の中で粗末な服を着て、

動く絵画に描かれた私と同名の女を“悪役令嬢”と呼ぶ女が、

まるで私であるかのような曖昧な記憶が頭を過るのは何故?



★☆★


まだ、転生後の悪役令嬢の精神が優位であった頃。

この後のどこかで、某かの事故に遭い、前世のゲーマー女子の精神が悪役令嬢の中で覚醒するんだろう。…知らんけど。

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