第205話 ピアノ線

ピアノを弾く事しか知らなかった。


コンクールでの腕前を見込まれたものだと思っていた。


パトロンを買って出てくださった紳士が、

まさか、この国の総統だったなんて。


『夫人に無理強いなどしていない』

と訴えても、へし折られた指は元に戻らない。


ピアノ線で絞首されるなら、

天国で演奏できるだろうか。



★☆★


世間知らずな若い美貌のピアニスト。


パトロンの正体を知らず、

パトロンの幼い娘にピアノの手ほどきもしてたのでしょう。


レッスン後、夫人に言い寄られても断っていたら、

恥をかかされた夫人は、夫に

「ピアニストに襲われた」

とか

「ピアニストはスパイだ」

とか訴えたんでしょうね。



何故、『ピアノ』じゃなく『ピアノ線』なんだ。

めっちゃ難しかったよ。

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