第203話 きな臭い

一面の芝生に一本のけやきが聳える庭。

ガーデンテーブルには冷めた飲みかけの紅茶。

木陰の椅子に座る、

昼行燈と揶揄される領主は、

腹の上に読みかけの本を乗せて微睡まどろんでいた。


屋敷から出て来た執事が携える一通の封書には王家の封蝋。


開けずとも、

きな臭さ香る手紙を受け取った領主の目の奥がギラと光る。



★☆★


普段は、ぼけ~っとしてても、

覚醒にかかる時間は一瞬。

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