第191話 誤送信

五層目のフェイズの臣から届いた速報。


『雨後、五僧、碁ノ師ノ荘着』


『躁ノ痩身ノ僧、紫蘇食シ喪神』


『師曰ク。痩身ノ僧ノ総身ニ瘡有リ』


『四僧曰ク。師ノ護身ノ嘘。痩身ノ僧、誤診ニテ死ス』


『師曰ク。痩身ノ僧ト四僧。思想ノ争有リ』


『相互誤信。齟齬有リ。艘デ護送ス』


誤送信だが、顛末が気になる。



★☆★


解説


雨が上がったので、五人の僧侶が碁の師匠が仮住まいする家に遊びに来た。

痩せた僧侶が燥ぎ、紫蘇を食べて、失神した。


(家臣が役所から現場に到着して事情聴収)


碁の師匠が「痩身の僧侶は、体中に湿疹が出て死んだ」と、痩身の僧が死に至るまでの経過を説明し終えると、残った四人の僧侶が、

「それは碁の師匠が自分の身を守る為についた嘘だ。本当は、師匠が僧侶の痩せた身体を診て、病気だと判断し、『これが薬になる』と紫蘇を食わせ、殺した」

と証言した。

それを聞いた碁の師匠は、

「はぁ? 私が痩身の僧を殺す理由なんか無い。それを言うなら四人の僧は、痩身の僧と思想的な諍いがあったよな。しかもこの痩身の僧は、次期住職候補だ。この痩身の僧が住職になったら、寺を出される事を恐れ、お前らが殺したんじゃないか?」

と、四人の僧には殺害する動機がある事を証言した。

その後も互いに言い争いを始め、埒が明かないので、じっくりと詳しい話を聞くため、船に乗せて、これから役所そちらに護送しまーす。


という連絡を五層目に出張している家臣から受けた。

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