第22話 魔王の眷属。
「あなたがこの聖都を護るのですよ」
あたしが大聖女サンドラさまに聞かされ続けていたこの言葉。
空っぽだったあたしの心に染みついて、今も残っている。
あたしにできることは聖なる結界をはることだけ。そう思ってたしそれを期待されているのだろうと思っていたからなんの疑問も持たずに受け入れていたその言葉。
今でも心の奥底にあってあたしの行動指針になってるんだなぁって今にしてそう思う。
自分の命を削ってもあたしがやらなきゃって強迫観念に囚われて……、って、よく考えてみれば怖いよね。
結果としてあたしも助かったし聖都も護れたので良かったんだけど、あのひとにももう二度と一人であんな大魔法を使わないようにって念を押されたっけ。でもね。
また同じような事があったらまた同じような選択をしちゃいそうで怖い。
それだけあたしの中に残っているこの言葉の呪縛は重いのだ。
ティアが集めてくれた話によるとやっぱりあたしはもう死んでいるだろうって思われているみたいだった。
おおむねかわいそうな聖女って感じの扱いであの噂もやっぱりわざと流されたものだって街の人たちも噂してたらしい。
かわいそうにね、ってティアが言ってくれたから、それでもういいことにした。
今のあたしはレティシアで、あんな聖女宮とは関係なく生きるんだ!
そう思ったら少しは心も軽くなったし。
でも。
そうすると気になるのがやっぱりあのグリフォンの言葉。
お前たちも魔王様の眷属だろうと言ったあの言葉はどういう事だろう?
それを知る事がもしかしたら結界をはるだけでなく今の現状を打開するきっかけにもなるかもしれない?
なんて事も考えてしまう。
だから。
レヴィアさんに会いに行こう。
そのためにまず、龍人族が住むという北の果て。
帝国領のノーザランドに行ってみようと思うのだ。
龍神族の始祖はその昔魔王から分かれた分身、
それがほんとうなのであればあの魔王様の眷属っていう言葉もわからないでもないけど、だったらだったでね。
ティアは……、置いていこう。
流石にあたしのわがままで彼女の人生を狂わす訳にもいかない。
聖王国を出て帝国領に入るのだ。どんな危険があるのかもわからないし。
あたしは彼女の枕元に置き手紙とある程度のお金を残して。一人でこのまま出発する事にした。
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