カフェの行方
助っ人
冬休みが明けて部員は調理室で話し合っていた。
莉菜はクリスマスや年末年始は私たちも冬休みである程度時間があったけれどこれからは学校おって終日カフェに時間を割けるかと言ったら難しくない?
紗綾は確かに莉菜の言うとおりだね。花蓮、これからどういう方針でいく?
私はしばらく考えた。う〜ん、そうだね……。さっき莉菜が言ったように冬休みだったから時間があったけれど授業や実習が重なると中々難しいからとりあえず土日祝の営業にして平日は反省点を踏まえてどうするか考えていこうと思いますが皆さんどう思いますか?
香苗はそれでいいと思うよ。一旦、その方向でいこう。それで何かあるようならまた話し合おう。じゃあ紗綾、申し訳ないけどまたシフト表作ってもらってもいいかな?
分かった。予定は組むけれどもし何かあったら遠慮なく言ってね。何かあったらみんなでカバーしあえるようにね。特に花蓮、分かった?花蓮は人よりも頑張らないとって思うところがあるからさ。
何かあればみんなに言うね。発案者の私がリタイアするわけにはいかないからね。
春休み等の長期休みに終日営業することにしようという話でまとまった。
毎週金曜日の部活は翌日の営業に向けて準備する日に充てように決め、土曜日のオープンをスムーズに出来るように考えていた。
冬休み明け初のカフェ、私はどれだけの人が来てくれるのか期待と不安でいっばいだった。お客さんの中にはオープンの時に子どもがもらったクッキーが美味しかったからまた来たよ、年始に美味しいプリンを食べて年明けから嬉しい言葉をかけてもらった。
嬉しい言葉をかけてもらった店員でもある私や他の部員の顔が綻(ほころ)びを隠せずにはいられず美波は花蓮、ありがとう。花蓮がカフェを開きたいって言ってくれなかったらこんな感動をもらうことはなかったよ。紗綾や香苗と比べたら人としてもお菓子を作ることに関しても劣ると思うけれどこんな私でよかったらいつでも相談に乗るよ。
私はそんなこと言わないでよ。いつも美波には助けてもらっているからそんな風に悲観しないで。一緒に1個でも多く売れるよう頑張ろう。
美波は思わずどっちが先輩なのか分からないねと笑っていた。
この日は全て売り切ることが出来ず、廃棄するのはもったいないと考え、8人で食べていた。みんなで明日こそ売り切ろうねと気合いを入れた。
日曜日の売上はよく完売することが出来た。嬉しい反面、何故売れたのか考えていた。
梨沙はスマホで調べると明日は成人式じゃん、振袖を着た美人のお姉さん方が寄ってくれるかも知れないよ。とりあえず明日の仕込みしようか。
休み明け初の祝日、どれだけ売れるのか心配だった。
開店するとしばらくはお客さんは疎(まば)らで私たちは先行き不安でお昼を迎えた。2人ずつお昼ご飯を食べるために休憩をローテーションしていた。
私の休憩時間となり美波と共にお昼に出かけた。花蓮、何食べる?私は花蓮の食べたいものでいいよ。
そうだね……、あまり遠くに行くと配膳されるまでの時間、食べる時間、戻ってくる時間を考えるとこの辺りのお店にした方がいいよね。マップで調べるとイタリアンのお店見つけて出かけた。
2人でメニューを見てパスタ、ピザドルチェ食べ放題コースを見つけ美波は食べたい〜とテンションが一瞬上がったがトーンダウンした。
私はカルボナーラ、美波はたらことスモークサーモンを注文をして互いにシェアをしあっていた。お店を出る時に美波はドルチェを名残惜しい顔をしてカフェに戻った。美波、そんなに食べたいならカフェが終わってから買ってきてあげようか?
花蓮の気持ちだけ受け取っておくね。お店戻ろう。
カフェには長蛇の列が続いており、裏から店内に入って美波は美華これはどういうこと?
成人式が終わって公園を歩いていたらかわいいお店があったから寄ってみたって言ってくれるお姉さん方が多くてね。店員は入れ替わり立ち替わりだけど私たち高校生をかわいがってくれて中には店の中で制服と振袖のコラボ写真撮影したいとって言ってくれる人もいて優しい人で私もあんな大人になれたらなって。
すると梨沙はある一言を発した。
店内で食べるって言ってくれたけれど理由は何だと思う?
私はそりゃあ店内でゆっくりしたいからでしょ?基本的に店内で食べる人の理由って他にあるかな?
そのお客さん、いやお姉様がせっかくならかわいい店員さんみんなと写真撮影したいから待っていますって。
そこまで言ってくれるなら撮ろうよ。他のお客さんには事情を説明して一瞬だけ時間をもらおうよ。
そして美華はお姉さんを呼んだ。
振袖を着たお姉さんはショートカットで小顔で私たち高校生も憧れるような容姿端麗で喜んで写真を撮影してそのお姉さんはお店を出て行く姿を見送って再びお店の業務に戻った。
この日は完売御礼で沢山のお姉さんから写真撮影を求められて嬉しい1日となった。
忙しい1月を終えて完売となったのは年始と成人式を含む3連休でどうすればいいのか私は考えていた。
そんなある日、ある人が尋ねてきた。
2月に入り芽衣が久しぶりに母校、那古野総合高校を訪れた。
私たちは芽衣さんお久しぶりです。学園祭以来ですね。今日はどうされましたか?
芽衣は大学のテストが終わって長期休暇に入るから地元の那古野に戻って来ようと思っていてさ。今日はお店やらないの?
私はかわいいお花ありがとうございました。普段は土日祝の営業で平日はどのようにするかって考えています。もちろん冬休みや春休みはなるべくお店を開けてたまに休業日をもらっています。そのシフトは部長の紗綾が組んでくれています。
そっか、私はしばらくこっちにいるからお店手伝うよ。何をしたらいいのかな?
私はそうですね……、紗綾どうする?
じゃあプリン作りをメインにしてもらおうか。芽衣さんお願いしてもよろしいですか?
もちろん、作り方また教えてね。それに敬語じゃなくてタメ口でいいよ芽衣って。
短期間だが優しくて心強い芽衣か加わった。
悲しいニュース
2月に入り始めての土日、芽衣が手伝ってくれたおかげでスムーズかつ私たちの負担も減っていつも助けてもらっているなと感じていた。閉店時間になり、私はお店を閉めた。プリンもクッキーも売れ残ると芽衣が私がお金出すからみんなで食べようと店内で食べていた。私は今日、残りが少なかったから芽衣の負担もそんなに多くなかったけれど毎回そんな訳にはいかないよね……。
紗綾はそうだね、花蓮の言うとおりだね。一体どうしたらいいのか?明日の様子見てまた考えよう。
芽衣は呟いた。そりゃあ作ったものが全部売れるに越したことはないけれど店内にいたお客さん見たらみんなお店の外も中もかわいい。またこのお店に来られてよかったって言っていたお客さんもいたからみんなのやっている事は決して間違っていないよ。カフェは販売であり販売だけじゃないからね。
私たち全員の頭にはハテナマークが浮かんでいた。
香苗は思わず芽衣、どういうこと?
芽衣は難しい話はまた今度するね。明日の仕込みしなきゃいけないでしょ?手伝うからなんでも言ってね。
私たちは芽衣にはぐらかさせた感じがした。
日曜日、クリスマスや年末年始に来ましたと言ってまた訪れて来てくれる人が徐々に増えてきてリピーター。大事にしないとなと考えていた。新規のお客さん、リピーターのお客さん沢山のお客さんで賑わって嬉しい気持ちでいた。だがどうしても売れ残りが出てしまい、私は俯き泣いていた。
花蓮は悪くないよ。大学の友達にもこの味を知ってもらいたいから買い取らせて。友達の家に郵送するからそんな泣かないでとハンカチを渡させた。
私は涙を拭って芽衣に抱きついて申し訳ない気持ちとみんなの前で泣く自分にも許せずにいた。
その日の夜、スマホを見ていると気になるニュースを2つ見つけた。
「天災で規格外となり果物が出荷出来ず」
「今年の恵方巻、食べずにそのまま廃棄」
このニュースを見てどうにかならないものなのかと私は思っていた。晩御飯を食べている時にパパとママにその話題を出した。
パパは規格外の果物とかはジャムに加工してはんばいして恵方巻に関しては売上ばかり考えていて作り
すぎた結果売れずにそのまま廃棄になっちゃうことが多いね。恵方巻は節分の前日と当日に食べる人がほとんどだからね。
ママは花蓮がそうやって社会問題に関心を持つことは大事だと思うよ。簡単なことじゃないと思うけれどこれが何かカフェのアイデアに参考になればいいね。ママは言うだけで何も出来なくてゴメンね。
私はその意見を聞いて何か出来ないかと寝ながら考えていた。考えすぎて寝過ごさないようにスマホのアラームをセットして寝床についた。
放課後、調理室に行くと芽衣が待っていた。花蓮、授業お疲れ様。芽衣こそお疲れ様。あ、そうだちょっと芽衣に聞きたいことがあって話を聞いてもらってもいいかな?
うん、いいよ。花蓮好きな男の子でも出来たの?
私は違うよ、そういう話じゃなくて昨日スマホでニュースを見ていてさ、天災で規格外となって出荷出来なかったり恵方巻が大量廃棄されていたっていうからどうしてそんなことになるのかなって思っていてさ。
たしかに花蓮の言うとおりその2つは社会問題になっているからね。でもそのニュースを見てどうにかしたいって思うってことは大事なことだよ。みんなが来たらカフェの運営とちょっとその話もしようとかな。
私は芽衣にカフェの運営とその話って関係しているの?
まぁそれは私はの話を聞いて花蓮か判断して。
ゴメン花蓮、日直で遅くなったと莉菜がやって来た。芽衣お疲れ様です。そんなところで座っているなら調理室に入りなよ。私、鍵もらってくるから。
続くように先輩たちもやって来て莉菜は調理室の鍵を開けた。
芽衣はみんな椅子を持って前に来て。花蓮から気になることを相談されたから話すね。
芽衣はホワイトボードを持ってきた。
1つ目として天災として出荷や販売出来ない野菜や果物をどうにか出来ないか?
香苗はスイカやメロンはスムージーにしたら美味しそうだしリンゴやイチゴはジャムにして販売するのはどうかな?紗綾はでもさ、その規格外の野菜や果物をどうやって仕入れるの?出来たとしても誰がどうやって運ぶの?そこも考えないと。それにこれ以上仕事増やしてみんな出来るのかってところだよ。
芽衣はそこは農協の人に聞いて分けてもらって人数に関しては足りないとなれば私の友達を呼ぶよ。戦力になるかどうかは分からないけれどね。
私はジャムやスムージーの種類を増やすかどうかは人をちゃんと確保出来てジャムとスムージーがそれなりのものであれば販売することにしよう。
芽衣は2つ目は恵方巻の大量廃棄について。
これはどうしてこんなことがおきると思う?梨沙はなんでだと思う?
私の家では恵方巻をスーパーで予約します。でも実際にスーパーに行くと普段陳列されている握り寿司とかはなく恵方巻が並んでいることが多いです。視点が違うかもしれませんが需要と供給のバランスがあっていないから結果的に恵方巻が残って捨てることになると思います。
梨沙の言うとおりでこれが所謂(いわゆる)廃棄ロスだね。それともう1つチャンスロスっていう言葉もあってどう言う意味か分かる?紗綾、答えてみて。
紗綾はチャンスは機会、ロスは損失だよね……。機会損失ってこと?ねぇ、芽衣どういうこと?
じゃあ説明するね。廃棄ロスはさっきの恵方巻じゃあないけれど作りすぎて残って捨てることになって話はさっきしたよね。それに対してチャンスロスっていうのは本来なら利益を得られるはずだったのに何もしなかったことによる損失のことだよ。
美紅は話が難しくてよく分からない。芽衣、もう少し分かりやすく説明してもらってもいいかな?
じゃあ例えるとするならばこの9人で学校帰りにプリン屋に行ったと仮定するじゃん。そこで私は後輩たちにプリンを食べて欲しいと思って1番後ろの列に並ぶけれどもプリンは8人分しか買えずに売り切れとなって年長の私は食べられない訳じゃん。この時にプリン屋は材料があれば私もプリンが買えたかも知れないでしょ。これがチャンスロスだけど少しは分かってもらえたかな?
私はじゃあ単純に作りすぎても作りすぎなくてもダメってことだよね。難しいね……。
私はお店を運営している訳じゃないから参考にしてもらえたらって感じだからね。せっかくカフェをやっているからにはお客さんにも喜んでもらえて売り切った方がみんなも嬉しいじゃん。
市本先生がやって来て村上さん久しぶり。ホワイトボードで何を書いていたの?
芽衣は規格外の果物をどうしたらよいのか。恵方巻の廃棄ロスに併せてチャンスロスについて説明していて何か後輩たちの参考になればって思って話をしていました。
たしかにその2つは社会問題になっているからね。村上さん、いつも後輩たちのためにありがとう。何かあればアドバイスやカフェのお手伝いしてあげてもらえると助かると思うよ。
芽衣はかわいい後輩たちのためなら何でもしますよ。みんなゆっくりしていて。私が今からバウムクーヘン作るからお喋りしていていいよ。
莉菜は記帳した大学ノートを見てクッキー、プリン、スムージー、ミルクティーの売上を見てみんなで話し合っていた。美紅は美味しいって食べてくれるのは嬉しいけれどそろそろ何か新メニュー考案しようよ。
私はそうしたいのは山々だけれど人数がもう少し欲し確保出来ればいいけれど芽衣の友達にも声をかけてくれるっていってもどれだけ来てくれるか分からないし私たちの周りの子に声をかけても集まるかどうかは未知数だよね……。
芽衣はバウムクーヘン出来たよ。みんなで食べるよ。迷える子羊さんたちよ、これでも食べて難しいことは一旦考えずに食べてみてよ。美味しいかどうかも判定欲しいから純粋に食べてみて。
私たちはバウムクーヘンを食べてみると美味しい。下校時間になり芽衣には学ぶとが多いなと感じていた。私は莉菜と共に電車に乗っていた。
あの〜、すみません。那古野総合高校の方々ですよね……?先日コンテストでお会いした海部女子高校の朝比奈朋香です。覚えていますか?
もちろん覚えていますよ。改めまして七瀬花蓮と鈴本莉菜です。それで朝比奈さんは私たちに何かありましたか?
朋香は那古野公園にカフェがあるって聞いてそれが那古野総合高校さんがやってると聞いて1度部活みんなで尋ねたいなと考えていますがよろしいですか?他校の人間がやっぱりスパイ紛(まが)いなマネをされるのは困りますよね……。
私は営業は土日祝ですので土曜日にでも是非皆さんでお越しください。私や莉菜、他の部員全員で海部女子高校の方々をおもてなし致します。同じ高校生でもありよきライバル、お互いに切磋琢磨出来たらいいなと思います。朝比奈さん、よかったら連絡先交換しませんか?これからのこともあると思うので。
そうですね、私と朝比奈さんは連絡先交換交換すると朋香はこうやって七瀬さんや鈴本さんと仲良くなれて嬉しいです。朋香は途中で電車を降りた。
莉菜はどうしてそのまま朋香さん、いや海部女子高校の皆さんに手伝って欲しいって言わなかったの?バリエーション増やすには人手足りなくてどうしようって花蓮言ってたじゃん。なんか矛盾していない?
私は莉菜の言うとおり矛盾しているね。でもさ、お店の食べてもいないのに手伝ってなんて言えないでしょ?まずは手伝ってもらってこの味なら手伝いたいって思わせてからじゃないとって思ってさ。それにまず海部女子高校の人が何人来てくれるかも分からないし、定期圏内の子じゃないとわざわざ手伝いのためにお金を出させる訳にはいかないからね。
花蓮ってホントに優しいよね。他人のことをよく考えているね。海部女子高校の人がカフェに来て美味しいからこのカフェで手伝いたいっていう子が1人でもいたら嬉しいね。きっと花蓮の思いは届くよ。
土曜日、朋香は海部女子高校の部員を連れてココカフェ花蓮にやってきた。みんなお店の外も店内もかわいい、こんなオシャレでカフェがあれば通いたくなるな。
朋香は店内の佇まいも然(さ)る事乍(なが)らこのクッキーにプリン、ミルクティー、スムージーどれを取っても同じ高校生が作ったものとは到底思えない。コンテストで負けたのもうなずけるな。
美華は地区大会では2位だったので。それよりも1位だったのが海部女子高校さんで今度こそ負けないぞっていう気持ちでいました。
朋香は1つの提案をした。
閉店時間まで適当に時間を潰しているので残ったプリンやクッキー等あればいただくことは出来ませんか?残ったらなんて失礼ですよね。
私はもし皆さんがよろしければプリンやクッキーを作るの手伝ってもらえないですか?時間を持て余すのももったいないと思いますので。無理強いはしませんが海部女子高校さんがお手伝いしてもらえるとスゴく助かります。
朋香を始め、海部女子高校の部員たちはお願いしますと頭を下げてこの日は手伝ってもらうことになった。
那古野総合高校、海部女子高校ともに8人ずつで芽衣には会計、陳列をしてもらい私たち那古野総合高校は1人ずつ海部女子高校の隣に付いてどのように作るのか説明をしていた。
同じコンテストで頂点を目指していただけあって少し教えただけですぐに吸収してお店はスゴく捗(はかど)い夕方には完売となった。
私は今日はありがとうございました。勝手なお願いだとは思いますが明日や土日にまたお手伝いに来てもらうことできますか?もちろん無理強いしませんし定期圏内の方だけでも来てもらえると嬉しいかなって思います。どうですかね……?
海部女子高校の人たちは私たちでよければお願いします、明日もお手伝いするので何時に来たらよろしいですか?
紗綾は私の顔を見た。ほら花蓮、海部女子高校の方々が何時に来たらいいですかって聞いているよ。このカフェの発案者は花蓮でしょ?何時に来てもらうの?
私は仕込みはこちらでするので海部女子高校の方々は午前8時にカフェの裏口から来てください。今日はありがとうございました。明日もよろしくお願いします。改めて自己紹介もしましょう。
翌日、午前8時にカフェに集まった。
では私たち那古野総合高校からでこのカフェの発案者でもある1年生七瀬花蓮です。じゃあ次、莉菜。
同じく1年生の鈴本莉菜です。2年生森河美紅です。2年生横須賀美華です。2年生海島梨沙です。3年生神里美波です。3年生副部長の星野香苗です。3年生部長の石川紗綾です。あ、オマケで卒業生の村上芽衣です。次は海部女子高校さんお願いします。
1年生椎名花菜子(しいなかなこ)です。1年生門脇愛海(かどわきまなみ)です。1年生瀬戸美菜(せとみな)です。1年生福山恋奈(ふくやまれな)です。1年生横野麻奈美(よこのまなみ)です。2年生山川心愛(やまかわここあ)です。2年生副部長石度沙希(いしわたさき)です。3年生部長朝比奈朋香です。以上8人が海部女子高校の部員です。
私はとりあえず昨日と同じ流れでいきたいので芽衣は陳列、会計を中心にやってもらって手が空いたら他のところを手伝ってもらう感じでいかな?
芽衣は分かったよ。他の人はどうする?
そうだね、海部女子高校の皆さんはクッキーもプリンも両方作れますか?
部長の朋香は全員両方出来るので味を再現出来るように昨日と同じ様にさせてもらってよろしですか?
私はもちろんです。いずれはクッキーとプリンの両方作れるようになってもらえると嬉しいです。厳しいようなら片方をマスターしてください。
そしてお店はオープンして私たちは海部女子高校の方々の覚えるスピードが早く、来週には全員がクッキーとプリンをマスターするのではないかと感じていた。
その姿を見て次の構想を考えていた。それは前から考えていた規格外の果物をジャムにすること。このメンバー、このクオリティならいける。ホントに海部女子高校の人たちが手伝いを引き受けてくれてよかったなと感じていた。
営業を終えてみんなで片付けをしつつ色々な話し合いをしていて楽しく小説家七川蓮実の話も挙がった。
実は私と莉菜と同じ中学校出身です。七川蓮実はペンネームで本名は茅川智恵実、その名前は私と智恵実が小学生の時に短編小説を書いていてその時にお互いの名前にしようってなって七川蓮実になりました。今でもそのペンネームで書いてくれていてホントに嬉しいなと思います。
社会貢献
私はまず規格外の果物を仕入るにはどうしたらいいのか、顧問の市本先生に尋ねた。
するとじゃあ一緒に農協に行って話を聞いてみよう。他のことはみんなに任せてさ。
でも発案者の私がお店の話し合いにっていうのは……。
それならば農協行ってから調理室に行けばいいと思うよ。みんな用事があるっていえば分かってくれるよ。
放課後、私は莉菜にちょっと農協に行くことを伝えるとこの前いっていた規格外の果物見に行くのか。みんなに伝えておくね。
私は市本先生の車で学校の近くにある農協に向かった。いざ入ってみると沢山の野菜や果物、お花がずらりと並びこんなに売っているのかと見ていた。
しばらく歩いていると従業員の人を見つけて声をかけた。
すみません、那古野総合高校の七瀬といいます。高校の近くにある公園でカフェをやっています。ネットのニュースで天災の影響で規格外の野菜や果物が出荷出来ないというニュースを見て心を痛めました。それで私なりに色々考えてその規格外の野菜や果物を使ってジャムやスムージー等を作れたらなと考えています。
従業員の人は高校生なのにそこに目を向けるなんてスゴいね。知り合いにも農家やっている人いるからその人に話をしたらきっと喜ぶと思うよ。
すみません……もしお時間があればその方にお電話してもらうこと出来ますか?でも1つのところにお願いをしたら他のところはいいのかってなりますよね……。
そんなことないよ。ちょっと電話かけてみるね。
その方は少し話してスマホを渡してくれた。
始めまして、那古野総合高校の七瀬といいます。学校の近くでカフェをしていまして規格外の野菜や果物があればスムージーやジャムとして販売しようと考えています。お譲りしていただくこと出来ますか?
電話越しの男性は農家としては規格外になってしまうものは農協に送ってそれで残ったものは廃棄になるよ。その廃棄するにはもお金かかるからね。それで七瀬さん、使いたい果物や野菜はなにかな?
私はりんごやみかんがあればなと思います。後、こんなものをスムージーにしたら美味しいとかありますか?
ウチはみかん農家なのでみかんを送るよ。さっきいっていたスムージーはバジルやほうれん草がいいかな。周りの農家に声をかけてりんごや野菜を分けてもらうようにするね。どこに送ればいいかな?
私は保留にして市本先生に尋ねた。送り先は学校にしますか?それともカフェにしますか?
市本先生は学校に指定しておいて。届いたら調理室に持っていくように他の先生にお願いしておくから。それよりも電話、保留のままでしょ。
あ、すみません遅くなりました。では那古野総合高校に送ってくださいと電話を切った。
従業員さんにお礼を伝えて市本先生の車で学校に戻った。
調理室に戻りみんなに送ってもらえる事が決まったことを伝えるとさすが花蓮たねと賞賛され、みんなでカフェ巡りに出かけた。
数日後、学校宛に荷物が届いて市本先生は調理室に運んで冷蔵庫に入れておいてくれた。私はりんごとみかんを取り出してジャム作りに取りかかった。
なんか形や大きさが適していないだけで規格外になるなんてもったいよね。莉菜はだから花蓮はもらってきてジャムやスムージーにしようとした訳でしょ?よくそんなにアイデアがポンポン出てくるよね。
あ〜、チアガールの人が持っているやつか。
それはボンボンでしょ。そんなしょうもないこと言ってないでちゃんと火元見てないと危ないよ。
そろそろ煮詰まってきたかな。みんな出来たよ。食べてみようよ。
皿にジャムを乗せて食べていると食パンが欲しいね。莉菜はジャムって何にあうの?
紗綾はスマホで調べてアイスクリーム、マスカルポーネ、ヨーグルト、シフォンケーキ、ベビーカステラ等があるみたいだよ。何か買ってくる?
とりあえずヨーグルトとシフォンケーキで試してみようよ。どんな感じになるのか楽しみだな。じゃあ紗綾、お願いします。
え、私が買いに行かせるの?莉菜、いつから先輩をアゴで使うようになったの?そんな風に育てたつもりはありません。
莉菜は先輩に買いに行かせるわけないじゃん。私が行ってくるから紗綾はここで待っていて。それでコンビニってどこにあるの?方向音痴だから誰か付いてきて〜。
もうしょうがないな。莉菜、紗綾と2人でコンビニに向かった。大きめのヨーグルト2つとシフォンケーキを人数分買って学校に戻った。
ヨーグルトにつけて、シフォンケーキにつけてそれぞれ食べているとジャムだけでなく何かつけて食べた方が美味しいねという結果になった。
翌週にジャムやスムージーの種類を増やして販売するとお客さんは喜んで買ってくれて僅かながら社会貢献出来ているのかなと実感した。
2月に入り学校に行かない期間、那古野総合高校と海部女子高校の3年生はお店の手伝いをしてくれた。互いの高校は卒業式を終えてみんなでパーティーをしようという話になった。
朋香は1つ提案した。那古野総合高校の皆さんにはご迷惑をかけて足でまといだったと思いますが快く受け入れてくれたこともあったのでパーティは是非ともこちらプチカフェ花蓮で行わせてください。
紗綾はこのお店は花蓮のお店でしょ?花蓮が決めな。
私はこちらこそお願いします。みんなで作って楽しみましょう。話し合いの末、日にちは3月1日に決まった。
私は家に着き、スマホを見ていた。電話の相手は智恵実で電話をかけた。
智恵実、久しぶり。突然どうしたの?また何かネタないのか教えてっていうの?あれもこれもないよ。
いや〜、花蓮なら思ったけれどな。ってそんな話をしたくて電話したわけじゃなくてさ。3月1日だけど学校創立日で休みでたまにはどこか行かない?やっぱりカフェで忙しいから難しいかな?
私はううん、そんなことないよ。その日はカフェで先輩たちのパーティやるから智恵実も来てよ。表は開けないから裏口から入ってきて。お店来られそうかな?無理強いはしないけれどさ。
智恵実は行ってもいいけれど私、部外者でしょ?部外者が行っても大丈夫なの?
私の学校と別の学校の人が手伝ってくれているけれどよく七川蓮実の話が出てさ。だから智恵実が来てくれたら嬉しいと思うよ。
私の書いた小説を読んでくれているって嬉しいな。何も出来ないけれど是非とも行かせてもらいます。何時にどこに行けばいいかな?
那古野総合公園に噴水があるからそこに午前9時に来て。私が迎えに行くからさ。
パーティのメンバーには午前8時から準備するように伝えた。私は午前9時、すぐに戻ってくるからちょっと出かけてくると裏口から出た。そして久しぶりに智恵実に再会をして裏口から案内をした。
みんな誰だろうという顔をしていたが智恵実を椅子に座らせてケーキやクッキー、プリン準備をしていた。周りからはあの女の子誰なのか聞かれたが後でいうからと喋らずにいた。
一通り完成して3年生の石川紗綾、星野香苗、神里美波そして海部女子高校の朝比奈朋香さんご卒業おめでとうございます。そして皆さんずっと気になっていたこちらの女の子がよく話題に挙がっていた七川蓮実さんです。
どうも始めまして、七川蓮実改め茅川智恵実です。今回は花蓮から皆さんのパーティをされると聞いて私の小説を読んでいただいている方もいるみたいでホントに嬉しいです。ありがとうございます。
私はこれで挨拶らしい挨拶も終わったし、みんなで食べよう。智恵実も含めてみんなでケーキやクッキー、プリンを食べ尽くし最後にみんなで写真撮影し、七川蓮実のサインをお店に飾ってこの会を終えた。
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