改造人間サマーン~地獄変~
トモモト ヨシユキ
第1話 改造人間サマーン~登場変~
「キャアアァァァァァァ!」
夜のしじまに響き渡る乙女の悲鳴。
むくつけき二人組の男たちが一人の乙女の純潔を奪おうと企み、待ち受けていたのだ。
「ふへへへ」
「もう、逃げられないぜぇ、おじょうちゃぁん!」
出っ歯で近視の、長髪男が追い詰められた乙女の胸元に手を伸ばし、その薄手のブラウスを引きちぎる。
「嫌アァ!」
「へっへっへ、いい体してるじゃねぇか、こっち、こいよ」
「嫌あぁあああ!」
胸元を両手で覆い隠し、乙女が叫んだ。
「誰か、助けてぇ!」
その時だった。
物悲しいギターのトレモロが闇に響き渡り、一人の人影が現れた。
「だ、誰だ?お前は」
振り向いた男たちの前に姿を現したその人影の正体は。
佐々木 素子さん、24才は、そのときのことを、我々に、こう、語った。
「とにかく、すごい衝撃でした。なんというか。その、痴漢よりも、ある意味、怖かったというか。あ、これ、いつ、放送されるんですか?」
「誰だ?お前は」
振り向いた男たちは、言葉を失い、立ち尽くした。
そこには。
巨大な、筋肉ムキムキのゴリラ、じゃなくて、ラガーマンのような体格の男が一人たっていた。
男は、上半身をピチピチの虎縞タイツ、下半身は、ビキニパンツ一枚という出で立ちで、仮面で顔を隠し、頭には、猫ミミをつけていた。
そして。
注目すべきは、男の手にしていた武器だった。
右手には、カッチカチの冷凍サンマ。
左手には、なぜか、握り飯を持っていた。
「お前は」
男たちが叫んだ。
「ヘンタイ?」
「違う!」
仮面、猫耳のその男は、言った。
「私は、正義の改造人間サマーン、だ!」
「へ、ヘンタイ、だ!」
男たちが騒ぎ出したのを、猫耳男、サマーンは、冷凍サンマで殴り付けた。
凄まじい連打であった。
辺りに飛び散る血潮。
男たちの、叫び声。
まさに、そこは、阿鼻叫喚と化した。
痴漢の男たちは、あっという間に、ボコボコにされ、その場に崩れ落ちた。
恐怖に凍りついたまま、猫耳の男を見つめる乙女にサマーンは、にっこりと微笑んで言った。
「おにぎり、食べる?」
「あ、あ」
乙女は、ひきつる表情で仮面の男、サマーンを見て、叫んだ。
「助けて!誰か!犯されるぅ!」
「私は、確かに、見たんです」
佐々木 素子さんは、恐怖で震える声で語った。
「ビキニからはみ出ている○玉を!」
改造人間サマーン。
愛と正義のために、今日も戦う、サマーン。
サマーンの明日は、どっちだ!?
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