第19話 届

そして minako から届いた手紙。

 

toshi くん。

あなたを呼ぶときには、いつも「くん」付けでしたね。

年下だったから、ついつい「くん」と呼んじゃいました。

あなたの、男としてのプライドも考えずに。

ひょっとしてわたし、あなたをあなたのことを見下していた? 


ごめんね…ごめんね…ほんとにごめん。

もうすぐ二十四になる、minako です。

我が家では、家訓としてね、二十四には嫁入りすることになってるの。

お母さまもお婆さまも、そして大お婆さまも。


あなたがあの日……。

いいの、いいのよ、もう。

あなたは、まだまだ子どもだったってこと。

そのことに気付かなかったわたし、でした。


楽しい想い出をいっぱいありがとう。

でも、悲しい想い出も作ってくれたわね。

いいのよ、それも含めていい想い出になっています。

今まで、ほんとにありがとう。


もし、もしまた会うことがあったら、

「よっ!」

と、声をかけてね。

そしたらわたし、

「元気してた?」

って、聞くから。


キョトンとする旦那さまの前で、にっこりと微笑みかけてあげるから。

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