ウサギとカメとバイク

ある日、ウサギはカメの足がのろいのを小馬鹿にしました。するとカメはむしろ得意げに「だったらあの岬までどちらが先に着けるか競争をしようじゃありませんか。きっと勝つのは私の方だと思いますよ」と言いました。ウサギはそのことをしゃくに思い勝負を引き受けることにしました。

両者がスタートを切ったその時、ブロロロっと背後から重たいエンジンのうなりが聞こえてきました。ウサギとカメが振り返ると、バイクに乗った男が砂塵さじん蹴散けちらして驀進ばくしんしてきました。

「てめえらに本当の速さってやつを教えてやるぜ!」

あっという間にバイクはウサギとカメを抜き去りました。

「まだまだ俺はこんなもんじゃねえ!」

男がハンドルのスイッチを押すとジェットエンジンが点火しさらにバイクは加速しました。車体は第一宇宙速度を超えて岬を突き抜け、大気圏へ赤熱しながら突入し爆発四散しました。

こうして男は空のお星様となったのです。

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