高利貸しのアラン
高利貸しのアランは昔からケチで有名な男だった。
金儲けの話はするが、友人との遊びにも女にも興味を示さない孤独な男だった。
そんなアランにも金以外に愛するものが一つだけあった。
それは絵画だ。
彼自身に絵描きの才能は無かったが、芽のある青年画家を見つけては札束をちらつかせてパトロンを申し出た。
ある木枯らしの吹く11月のこと、アランは一人の青年に目をつけた。
「金を出そう。だが、あまり多くは出せない。最初の絵が売れたら、もっと出そう」
酒場でやつれていた青年はすぐに貴方のために絵を描くと約束した。
その日、飲み明かした酒は美味かった。
いつもより随分と飲み過ぎたアランは小切手の金額を一桁間違えたが、気づかなかった。
そのまま青年は酒場の女と高飛びした。
翌日、アランはまた酒場に来た。
ひどく不機嫌だった。
店主は、金を無駄にしたな、と言った。
金? 失ったのは才能だ、とアランは答えた。
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