第9話 どこまでも


「ねえ、あれでよかったの?」


隣の少女が聞く。


「はい」


僕は一言。


緑の丘に、風が巡り


僕はふっとそれを思い出すーーー。





騎士王は僕達の眼前に居り大剣を振り下ろそうとするーー


が、


その時には既に僕は彼の数歩先の背後に居た。


「戦わないつもりか?」


「はい。姫を助けたので僕の役目はもう終わりです」


「…成程。四騎士…及び騎士から貴様は外す事にする。異論は無いな?」


僕は歩みを止めず

後ろを振り返らず言う。


「いいですよ、僕は姫だけの騎士ですから。」





「姫だけの騎士とか言ってたね」


「…やめて下さい」


僕ははにかみ若干口角を上げる。


「…でもありがとう」


「いいえ」


「お腹は大丈夫?」


「…彼、ああは言ってたけれど何処か寂しそうでした。そのなにかが、攻撃それに作用したのかも知れません」


「次はどこへ行く?」


「どこへでも」


「最終地点は?」


「どこまでも」



あの時の風が、また、


吹いた気がした。



〜fin〜

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