最強賢者の逆転生 〜未知と強者を求めて転生したら男子高校生でした〜
海夏世もみじ(カエデウマ)
第一章 [転生、そして学園無双編]
第1話 [転生]
———ここは剣と魔法が支配する世界。
そんな世界で頂点に立ち、長年その座を譲ることがない男がいた。
あらゆる魔法を駆使し、誰も知り得ないことを彼だけは知っている……と、最強にふさわしい男であった。
彼はいつからか、“最強の賢者”と呼ばれるようになっていた。
その男の名を“フォルディ・オース”という。
———そしてとある山岳地帯。人は一切近寄らないような場所に黒いローブを纏い、異質のオーラをも纏う一人の男がいた。
『グルァアアアアア!!!』
今、俺の目の前には誰にも倒すことのできない最強のドラゴンと言われている“カオスドラゴン”がいる。
倒して持ち帰りでもすれば英雄とまで言われるほど強いと言われている。
———だが
「またお前か……【
俺は手のひらをカオスドラゴンに向け、そう呟いた。
すると手からとてつもなく大きな炎が吹き出し、爆発しながらドラゴンへと放たれ、ドラゴンの巨体を包み込んだ。
ドラゴンは骨すら残らず、地面には大きなクレーターが出来上がっていた。
モクモクと黒い煙がその場から立ち上がっていた。
「ああああ……つまらん…つまらんぞ!!なぜ俺より強い奴がおらんのだ!!」
俺ことフォルディ・オースは退屈していた…それはそれはとっても退屈していた。
周りからは畏怖の象徴とされたり、最強賢者だのなんだのと言われてだーれも相手になってくれやしない。
魔物もこんな弱っちいやつばかりだ。
そして図書館という図書館を巡るだけの旅に出たこともあった。なんせ俺は千年以上生きてるし、まだ死なんからな。
だがどれも同じようなことばかり。知らないものあってもすぐに覚えてしまう…。
この世界で知らないことはほぼ無いと言っても過言ではないだろう。
———“完璧”
人は俺のことをそう言うだろう。
だが完璧ほどつまらないことは無いと思う。
できないことがあってこそ楽しい。できるまでの努力も、できた達成感も、それを継続させるのも楽しいと言うのに……。
「この虚無感や絶望感を分かち合う仲間すらおらん……」
昔は俺にも仲間がいて、パーティーを組んでいたことがある。
だがその仲間たちも俺に恐怖感を覚えたり、ついていけないなどと言われて結局は解散となってしまった。
家族も子供もいない。従者的な者はいるが、そいつは俺のことをリスペクトしかしないのだ。
たまには否定や意見など言って欲しいのに、全て肯定して“すごいすごい”と言うだけだ。
「はぁ……せめて“魔王”が生きていたら良き相手になると思ったのだがな」
この世界には昔、魔王と呼ばれる存在がいた。俺よりも畏怖の象徴となっていた者だ。
だが俺が魔法研究のため、地下へ数百年潜っている間に“勇者”に倒されてしまったらしい。
今では魔王はいなくなったが、魔物は変わらずに沸き続ける。
だが先ほどのように弱いのしかいない。
勇者とも戦ってみたかったな……。
「これからどうするか……今生きている意味が見つからん……」
何かいい策がないかと近くにあった岩に腰を下ろし、唸りながら考えていた。
そして俺はあることを思いついた。
「———そうだ…転生しよう」
俺はふと頭をよぎった単語を思い出した。
“転生”。それは生まれ変わることだ。
昔作ったが発動のさせたことのない魔法だ。
「よーーし!!さっそく魔法使ってみよう!しかし…なぜ俺は思い出さなかったんだ〜?ワクワクするな!!」
俺はいろいろな魔法をいじくり、前の魔法よりも多少進化させた。
「できた!これが転生できる魔法…【転生魔法】だっ!!そのままダァ!!」
【転生魔法】。転生先をランダムにすることで、記憶をそのまま引き継げるという条件を引っ付けた。
「よーし、ではさっそくやるか……行くぞ」
「【転生魔法】!!」
俺はなんとも言えない不思議な感覚になった。
視界がどんどんと暗くなって行き、目眩もしてきた。
そして記憶もだんだんと薄れていった。
次に目を覚ますとそこは———
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます