第2話 猟奇的な幼なじみとの出会い

7歳になった俺は、ある女の子に出会った。これが俺の薬師として生きるきっかけになったのだった。


夏のある日、近所の子供たちと一緒にかくれんぼして時間を潰していた。親たちは働いているので、子供は子供同士で固まって過ごすのがこの世界での常識だ。


「もういい〜か〜い?」「まぁだだよ〜ぉ。」


木漏れ日があふれる森の茂みに隠れながら寝っ転がった。朝から頭痛がして辛かったのだ。


「あー、勉強がしたい。毎日つまらない。化学の研究がしたい。魔法使いになりたい。頭痛いの治れ〜、俺の中の魔力目覚めろ〜。『ヒール!!』...無理だよな。

はあ、せめて解熱鎮痛剤が欲しい。NSAID切実に欲しい〜。

バファ○ンでもいい。CMで言ってた“薬の半分は優しさでできています”って最高のキャッチフレーズだったなぁ。優しさ欲しい〜。」と俺はぶつぶつ独り言を呟いていた。


「私もバファ○ンお世話になったなぁ。生理痛の時にね。『優しさで出来てるなら、もっと痛みを和らげて』って思ってた〜。」と茂みをかき分け、いきなり美少女が出てきた。


「!?!?!?。誰?バファ○ン知ってるの?えっ、なんで?」

俺は、頭が真っ白になった。


女の子はみるからに貴族様で、こんなところにいるのも謎だったが、発言が衝撃過ぎた。


「私も転生者〜。没年33歳。元日本人!一緒だね。」と茶目っ気たっぷりに話し出した。


「私の名前は、ネフェルティ!ネフィって読んで♪そこの屋敷に住んでるの。

貴族に転生したけど、あなたは平民よね?

ねぇ、私と友達になろうよ。日本の話をしようよ!」とグイグイ俺のパーソナルスペースに入ってきた。


「俺は、アレックスだ...。まわりは、アレクと読んでいる...。没年30歳の1日前だったと思う。」


これが俺の幼なじみとの最初の出会いだった。


「ねぇ、アレク〜?勉強したいの??なんで?私みたいに無敵になりたいの?」とネフィは聞いてきた。


いや、無敵って何??こいつは何になりたいんだ?


「勉強が好きなんだよ。化学式中毒だったからさ。前世薬剤師だったんだよ。

多分30歳の誕生日に過労死したんだと思う。でもこの世界、勉強できるのは貴族と一部の裕福な商家のみだろ?日本の義務教育が懐かしいぜ。」と憐憫たっぷりに呟く俺...。


「魔法使いになれるか検証したかったなぁ。...ボソボソ.....。」

ため息を吐きながら、呟いた。


「魔法使いになりたいの?」とネフィがこてんと、首を傾げた。


俺は、ああ。と返事をして、なりたかった理由をネフィに説明することにした。


「ほら、前世では伝説で30歳まで童貞だと魔法使いになれるって言われてたじゃん?俺、朝起きたらまず『ヒール!!』って叫ぶって決めてたんだ。でも起きたら、赤ん坊だった。魔法使えるか試したかったよ。」とトホホとしょげながらネフィに話した。


「そっかぁ、童貞だったんだぁ。それは、トランスジェンダーで?それともモテなかったの?性的思考は??」となんか前のめりで変わった質問を聞いてきた。


若干引きながらも俺は答える。

「学生時代は、化学式にどっぷり浸かっていて恋愛に興味がなかった。薬剤師時代は寝る暇もないくらい忙しくて恋をする余裕がなかったからかな。

忙し過ぎて金使う暇なくて、貯金2千万超えしてたんだぜ!もったないよな....。」と正直に答えたつもりだった。


が、ネフィは納得しなかった。

「ねぇ、性的嗜好は??!」

食い気味にネフィがもう一度聞いてきた。


「...?..それ重要か?」


「重要だよ!!さぁ、教えて!!」


「多分、普通...?」


「叩かれたり殴られたり縛られたり、被虐趣味はないの!?私、加虐趣味で前世SM嬢だったの!」


.....。......凄い告白だな。


「......いや、そんなことは全くない。前世も今も叩かれたら、普通にイラッとするぞ。SM嬢だったのか、凄いレアな職業だな。」と、身の危険を若干感じた。


「そうなんだよ〜。最後の客がノーマルさんで激昂されて首しめられて死んじゃったよ。あ、私たち職場のせいで死んだ共通点あるね〜。ふふ。」

「あっ、そうだ!アレク、貯金額って20,346,655円だった?」


は??急に俺の貯金額?


「いや、わかんない。記帳してなかったし、次の給料日に2千万は超えるってわかってたくらい。」と頭にクエッションマークを浮かべながら答えた。


「うん、アレクの魔力が桁外れでね。その桁が20346655!神様の作為を感じるよね!きっと、30歳過ぎても童貞だった君に神様がプレゼントしてくれたんだよ〜。ちなみにその辺の人の魔力は、100いかないの。うちにくる魔術家庭教師でも1000未満なの。ぁ、私鑑定持ちなんだ!」


「は?魔力?鑑定??」


「うん。よかったね!魔法使いになれるよ〜。」と俺の困惑をほっといて無邪気にニコニコしているネフィー...。マイペースだ。


「俺魔力持ってても勉強する環境がないし、無駄じゃんかぁ。」

俺は凹みながら現実を伝える。


するとネフィが提案をしてきた。


「アレク、私が先生してあげるよ。私の家は魔術の家門なんだよ。

アレクは、ラッキーだよ!お父様に一緒に勉強したい子がいるって出入り自由にしてもらうわ。」と貴族らしい傲慢さで言いきった。


「いや、無理だろう。平民の汚い子供が貴族の家には入れない。」と当然のことをネフィに伝えたところ、さらに貴族らしい提案をしてきた。


「大丈夫!うちお金有り余ってるから。

屋敷の裏側にアレク専用の部屋を作ってもらうね。

お風呂場を作っておくから体洗って。その後用意してある服着れば大丈夫!」とうんうんと一人で納得している...。


大丈夫かなぁ...。

でも勉強が出来るってさ♪この世界には大好きな化学式があるのかなぁ♪楽しみだ。

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