第10話 イベントが起きる第30階層



 階層30


 見覚えがある恋愛イベントが起きた。


 基本恋愛には興味がなかったけれど、私はそれを覚えていた。


 それだけ印象深いイベントだったという事だ。


 それは、階層30で大勢の犠牲者が出た後の話だ。


 これまでも少なくない犠牲者や怪我人は出ていたのだが、今回は桁が違う。


 各階層で一桁台の数だったのが、一気に何倍にもなった。


 ダンジョンのトラップが狡猾になってきて、凶悪性がはねあがったのだ。


 気を引き締めなおした彼らは、犠牲者の遺品を持ち帰って、これからの事について話し合う。


 この先に進むかいなか。


 私の答えは決まっていた。


 ダンジョンを進むのはなぜか。


「そこにダンジョンがあるからよ!」


 攻略続行。


 ゼノスとラスト。彼等も覚悟は決まったようだ。


 普通の主人公だったら、こんな時でも恋愛につなげて、攻略対象者から「君を守るよ」なんて言葉が出てくるのだが、私は興味がない。


 なのでただの決意表明イベントにしかならなかった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る