おまけ
「ユリウスというのはお前か?」
「ーーはい、リチャード殿下に呼ばれて来たのですが……あなたがリチャード殿下でお間違いないでしょうか?」
「ふんっ、私が私以外の誰に見えるというのだ。私があのリチャード・ワイズマンでないのならいったい誰がリチャード・ワイズマンだというのだ⁉︎ まさか貴様がリチャード・ワイズマンとでも言うつもりか⁉︎」
「えっ? あっ……はい、あっ、いいえ。私は占い屋のユリウスですので、リチャード・ワイズマンではありまーー」
「ーー敬称をつけろっ! 失礼だろうがっ! なぜ今日あったばかりの貴様に呼び捨てにされねばならんのだっ!」
「えっ? あっ……すみません。ユリウス殿下ーーじゃなくて、リチャード・ワイズマン殿下です」
「んん? 貴様がリチャード・ワイズマン殿下なのか?」
「えっ? あっ、いや……私は占い屋のユリウスと申しますので、リチャード・ワイズマン殿下ではありません。はい……」
「そうだろう」
「はい……」
「それでーー何だ? 私が誰だか知りたいのか?」
「っと……そう、ですね。あなたがリチャード・ワイズマン殿下でお間違いないでしょうか?」
「いかにも」
「良かった。それでは今日お呼びいただいたのはどういったご用件でしょうか?」
「占い屋を呼んだのだから、占ってもらうに決まっているだろう! それとも何か? 逆に貴様はこの私に占ってもらうためにやって来たのかっ⁉︎」
「えっ? あっ……いいえ、違います。私が貴方をーー貴方様を占うためにやって来たのです」
「そうだろう」
「はい……」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「? どうした、なぜ黙っている?」
「えっ⁉︎ あっ……私待ちだったんですね……すみません、ぼんやりしてました」
「貴様、やる気はあるのか? 私は貴様と違って非常に忙しい身なのだ、あまり無駄な時間をとらせるな!」
「はぁ……すみません」
「さあ、さっさと占え! さあさあさあ!」
「あっ、あの……何を占えば……?」
「んん? 占い屋なのに自分が何を占えばいいのか分からんのか? 大丈夫か? 気でも触れたか貴様」
「あ、えっと……普段は占って欲しい内容を伺ってから、占いを始めていくやり方なので……はい……」
「そうか。貴様はずいぶん変わった商売のやり方をするのだな。例えるならそうだな……ふむ。貴様の商売のやり方は、パン屋を営んでいるのにも関わらずパンを売っていないような無茶苦茶なものだぞ。大丈夫なのか? 聞くが貴様は周囲の人間からずいぶん変わった人間だと言われないか? もし言われるとするのなら、まさにその商売のやり方が原因だぞ。パン屋ならば素直にパンを売れっ!」
「あっ……はい……ありがとうございます……はい……」
「…………」
「…………」
「まぁ、いいだろう。今回は占って欲しい内容を私の口から告げてやる。私が寛大な人間で良かったな。今後は商売のやり方を考えないと貴様生きてはいけないぞ」
「はぁ……」
「では私が占って欲しい内容はだな……」
「ーーあぁ、それならお安い御用です! その依頼は結構多いので……」
「お? そうなのか? ではさっそく頼む!」
「●◯▲△□■……彼の者の真実を映し出したまえ!」
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【名前】 セシリア・ホーリーズ
【年齢】 十七歳
【性別】 女
【LV】 1
【HP】 6
【MP】 0
【力】 2
【守り】 1
【素早さ】5
【賢さ】 6
【職業】 超晴れ女
【現在位置】カオスの直上
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「ーーという内容ですが……宜しいでしょうか?」
「ほう……実に興味深い。んんっ⁉︎ 職業が超晴れ女という事は、やはり奴は聖女では無かったのだな! ふっふっふっ! この真実を明るみに出し今度こそ奴等を国外追放にしてくれるわっ! 今に見ていろ。憎きホーリーズ家よ!」
「ホーリーズ家?」
「何でもないこっちの話だ。それよりも、ちなみに私の真実はどのようなものなのだ?」
「少しお待ちを。●◯▲△□■……この者の真実を映し出したまえ!」
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【名前】 リチャード・ワイズマン
【年齢】 二〇歳
【性別】 男
【LV】 1
【HP】 1
【MP】 0
【力】 1
【守り】 1
【素早さ】1
【賢さ】 0
【職業】 クズとかカスとかウジ虫とかゴミとかバカとかウンコとかハナクソとかヘドロとか、何かそんなの。
【現在位置】明日、ざまぁされる危険な立ち位置。
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「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「……これはどんな職業なのだ?」
「ーーーーしっ、失礼しますっ!」
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