#疾走! 背脂パンダ(✪㉨✪)

 とある水ぎわパンダさまからの企画に参加致しました♪

 詳細はこちら↓↓

https://kakuyomu.jp/works/16816452221290903720/episodes/16816700427793300354


では、始めましょう♪


***


『背脂パンダの夢』



 パンダは走っていた。白と黒の毛並みが風に流れてゆく。


息が上がる。目の前がゆがむ。しかし止まれない。なぜなら背後から―――



「あぁ、順調に進んでいるわね」 

 満足気に微笑む女。


 その女がいる薄暗い部屋の壁一面にいくつものモニターが並べられており、その殆どの液晶に必死の形相で走るパンダが映っていた。


 追っているものはモニターによって様々だった。

 刺客、清春、レッサーパンダ、白菖蒲折午、近況ノート、背脂、愛しい人、幼女、暗殺者、パトカー、マウンテンバイクに乗った雌パンダ、追尾型ミサイル、小さいおじさん族、などなど、実にバラエティー豊かだ。その種類はどんどん増え続け、それらに追いかけられている様子は延々と繰り返し流れ続けていた。


「ご主人。こんなに追いかけられ続けたら、パンダさまは疲れてしてしまいます」

 女の膝の上にいるネコ耳の少女が心配そうな顔をする。

「あなたは優しいのね」

 女は少女の髪を優しく撫で、その感触をしばし堪能する。

 そして、右側の壁にある一際大きなモニターに写っているパンダに目を移した。


 そのパンダは他のモニターとは違い、白く無機質な空間でただ眠っていた。

 その頭には、無数のコードが付いたヘルメットのようなものを被っている。

 この部屋のモニターに映っている映像は全て、パンダの脳からコードを通って送られてきた夢を映像化したものだった。


 女は少女を諭すように言葉を紡ぐ。

「彼のパンダは疲弊なんかしないわよ。これは全て夢だもの。むしろ、これでエネルギーが蓄えられるのよ」

「追いかけられることでですか」

 不思議顔で聞き返す少女を優しく見つめながら女は頷く。


「追いかけられるということは、彼に人々の思惑が絡むということ。それは、多くのものから求められているということなのよ。その莫大なエネルギーを一身に受けた彼には活力が蓄積される。そして、それが満たされた時、彼は目覚めるのよ」


「パンダさまはいつ目覚めるのですか」

「もうすぐよ。人々の想いが最高潮に達するこの祭りで、彼は復活を遂げるの」


 そう言うと、女は陶酔した表情で両手を胸の前に組んで、天に祈りを捧げるようなポーズとった。


「さあ。また一緒に遊びましょう。背脂パンダさま♡」

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