第7話めぐる季節

冬が来ると、春から秋にかけてルミナ村を拠点に森で採取や狩りをしていた冒険者が町に戻り、宿も空室だらけで酒場も閑散とし酒場での仕事がほぼ無い状態が続く。


客が来ないので酒場で働くことも出来ないので冬の間は実家に拠点を移したけど、兄達とは会話も無く、むしろ向こうから避けられている感じ、そして父とは少し話すけど、話が弾むわけも無く、言葉を交わしても一言二言、唯一まともに話すのは母だけと言った感じだ。

一応、母いわく父も自分の将来を心配はしているそうだけど、兄達の手前あまり手を出しづらいらしい。

確かに、兄達にはスパルタで仕事を教えているのに自分だけ面倒を見ると反発されかねないからね…。


それに、15歳になったら村を出て行けと言ってた割には、酒場で働く事や、冒険者が同行するなら森の奥に行っても良いとか、意外と気にかけてくれてはいるんだ。

とは言え冬の間はフォレストの皆も居ないし、森に行くことは出来ないんだよね。


まあ村には冒険者が何人か居るんだけど、村長が冬の間、村の警備をする為に雇った冒険者だから普段は見回りとかしていて、構ってくれないんだよね。


春から秋にかけて村に滞在している冒険者達は、村を拠点に森の奥に行き、そこで得た薬草や獲物、素材などをアイテムバッグやアイテムボックスに入れ冬には街に戻り換金し、街でのんびり過ごすか、町で受けれる依頼をする生活を送るらしく、ルミナ村を出て自分達の拠点とする街に戻ってしまう。

自分は剣技や弓、そして魔法を教えてくれる人達が居なくなるので、教えられた通り、木の棒で素振りをし、冒険者が作ってくれた小ぶりの弓を使って練習をし、魔力を増やす修行を繰り返す日々。


う~ん、毎日がおんなじことの繰り返しで飽きて来るんだよね…。

とは言えサボってしまうと将来自分が困る事になるし、今のうちは集中して身体を鍛えて魔力を増やさないと。


それにしてもスキル【探知】が覚えられない…。

フォレストの皆は索敵が覚えられたら日帰りで森の奥に連れて行ってくれるって言ってたけど、こればっかりは転生前の記憶が役に立たないな。


そんな基礎訓練と魔法の練習を続けているうちに、年が明け、春が近づいてくる。

それでもやっぱり【探知】だけは覚えられない…。

何がいけないんだろう?

フォレストの皆が村に来たらヤランさんにコツを聞いてみよう。

冒険者になったとしても、フォレストの皆のようにパーティーを組めるとは限らないし、一人で採取や狩りをするとなると探知は必要だし。


そして待ちにまった春がきたら、村には続々と冒険者がやって来るので酒場で住み込みをしながら、昼間は訓練と練習、そして夜は酒場で働く日常になる。


そして続々とやって来る冒険者に交じって今年もフォレストの皆さんもやって来た。


「おうファイン、元気だったか?」

「少し身長伸びたね…」

「う~ん、まだ体が出来上がって無いな、まあ成長期だからこれからだな」


口々に再会の挨拶と言うよりも思い思いの事を口にしていますが、バイルさんは普通にお土産だと言って鉄製の剣をくれた。


長剣と言うには短く、短剣と言うには長い、大体刃渡り60センチぐらいの鉄の剣。

手に取ると、木の棒と違いズシリとした重みがあり、本格的に剣の練習をしろという事だと思う。


その後、剣や弓、魔法が身に付いたかの実技を兼ねて相手をして貰い、冬の間にどの程度技術が向上したか成果を見せますが、たった数か月しか経ってないので、まあ同年代と比べると飛びぬけてるという程度で冒険者としては失格らしい。

だよね、9歳になったとはいえ、転生前の日本だったらまだ小学生だしね。


その後、ヤランさんに探知を覚えるコツを聞くも、自分を中心に円を描くようにし周囲の生き物を感知するイメージと言われましたが、うん、よく分からんね。

言われた事をイメージして覚えられるように頑張ろう。


そしてヤランさんには、索敵を覚えても森などに入った際は常に探知を使い続けるのが必須と更に絶望的な事を言われた。

う~ん、覚える前からハードル上げないで欲しいな。

まあ採取や狩りの間は探知を使い続けるのは予想通りだったからそこまで凹みはしないけど、覚える前から現実を突き付けられるとモチベーションがね…。


頑張って探知を覚えられるように練習しなきゃな。

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