二十三歳


 ビールが口に合うようになったあの頃。ワインのおいしさに気が付いたあの頃。


 楽しいことに楽しいねと笑い。悲しいことに、裏でしくしくと静かに隠れて泣いていた。もう、若かりし頃の飛び跳ねるような感情は出てこないけれど、ゴルフボールのような叩けば飛ぶ心で、声に出して沢山吐いた。


 メイクをして、身だしなみを整えることは当たり前になった。少しメイクが崩れるだけで、恥ずかしいと思うようにもなった。


 あの頃、ゲラゲラと馬鹿みたいに笑えていたことは恥ずかしいことになり、ぴえんと泣いていたことは大したことではなくなった。


 泣くときは、感情の奥の深い気持ちに寄り添うようになった。


 歳を重ねて、大人の心に進んでいった。


 

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