脱皮

白咲夢彩

十八歳


 まだお酒も飲めなかったあの頃。馬鹿げたくだらない話でただただゲラゲラと大きな声で笑っていた。


 高く強く響く声で、楽しいことに一直線に笑い、悲しいことにギャアギャアとうるさく泣いた。


 まじうける、超やばい!なんて、ぴちぴちした言葉を並べていた。


 イノシシのような勢いの感情で生きていた。世代がひとつ上の人には追い付けない、瞬時に変わる激しい喜怒哀楽の世界で楽しんでいた。


 消しゴムを忘れて半日分笑い、スプーンが落ちてお腹が痛くなるほど、笑い叫びあった。前髪が上手く流せないくらいで泣いていた。


 ココアがおいしく、心に溶けた。


 あの若かりし頃の感情の楽しい動きはもう出てこないだろう。

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