第594話 常山早起

僕とオイヴィが尻穴の事で馬鹿な話をしている間、魔族の女性、ああ名前を決めて早起だったね。

彼女はずっとそれを聞いていた様子。


「あんたたち凄くいい!」


何が今の会話でよかったのかわからないけれど、凄くいいらしいです。


「其方はこれより本当に順平殿の妻になるつもりなのか?こう言っては何だが出会ってまだ時間が経っていないが。」


「あ、それね、あんた知ってるでしょ?魔族にそんな時間は関係ないって。力が全てよ!このあたいの角を好きにし放題!そんな事ができるのは世界中広しと言えどもそうはいないのよ!しかも名前まで貰っちゃった!そうするなら返す方法は一つ!ご主人様が飽きるまでひたすら子を産み続けるのよ!そうよそうしようそして今すぐ孕ませろ!」


「なあオイヴィ、魔族ってこうなの?」


「いや、此処までのはいないと思う。かなりずれている女だが、一般的な魔族の女は人間とそう変わらない。そうだな、獣人が順平殿にとっては近いかもしれぬ。人間と違う価値観。魔族も子に関する価値観は人間のそれと大きく違う。」


「まあそれはそれでいいんだけど、果たして僕が早起と子作りしたとして、早起は妊娠するのかい?そして妊娠したとして無事出産できるのかい?もし危険が伴うならそうした事は避けないと。」

「危険が何だっていうんだい。それで死んだらそこまでだったって事だ。万が一死んでも恨まねえよ!むしろこのままあたいを抱かない事を恨むね。」


「それはまあ、魔大陸に渡って落ち着いてから考えるよ。」


「そうか?まあいい。だが魔力を回復してくれるとありがたいんだがなあ。ちょっと先っちょをここもごもごおお」


何を言い出すのかこの女は。

「別に魔力を回復できるのならポーションでもいいだろう?」


「あんた自分の精子を持ち歩いているのかい?言っとくけど新鮮なのを生きている間に子宮に流し込まないと意味がないからね!」


「そんな事はしない!単純に薬草から作った魔力の回復ポーションだよ。さあこれを飲め。不味いが効果絶大だ!さあさあ!」


ついでに臭いも宜しくない。

まあ改良されて甘くなってにおいも甘いのがあるんだけどね。


「うっ!何だこの耐えがたい臭いは!ぐ!いややめてくれ!耐えられん!」

あ、逃げだした。

「なあそんなに酷い臭いかなこれ。まあ不良在庫なんだけどさ。」


仕方なしに甘い奴を出して早起に渡す。


「何だあるんじゃないか。お・・・・甘いなこれ。これなら何本でも行けるぜ!」


「いやそれはやめてくれ。過剰な摂取は危険だ。」


「そうなのかい?」


「ああ、まず回復しにくくなる。そして中毒になる。」

こう言っては何だけど、こういうのは死刑になる犯罪者に試しました。

アルノルト陛下が犯罪者を提供してくれるんです。

まあどこの世界でも凶悪犯っているからね。で、どうせ殺すなら役立って殺せばいいと。

そんな感じで何度も試した副作用。

どれぐらいまでの投与が耐えられるのかとか、毎日過剰摂取する事による体の変化とか。


そして反犯罪者の中ではこれで生きながらえている人もいるんだよ。

同じ事を何人かに同じように試さないと意味がないから沢山の人に同じ事をやっている。

たまたま耐性があったりなかったりという人を排除しないと意味がない。

人の役に立つポーションや薬は結局こうした犠牲の元に成り立ってるんだ。

僕も正義の味方を名乗るつもりはないし。

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