第380話 ピートロネラ・フェリシア・ファン・ディーレン

ピートロネラは数日意識が戻らず、意識が戻った時には既に自身が召喚した人物は死んだと伝えられ、ショックを受ける。

しかし皇女は違和感を感じる。

何故なら自身が召喚した人物とは何らかの絆があり、その絆が今も感じているから違和感を感じる。

死んでも絆を感じるのはおかしい。

きっと生きている。


皇女は信頼できる数人の供のみを従え王都を出、召喚者が死んだとされる場所へ向かう。


だがそこには何もなく、道の先にある町に死体と共に乗り物の残骸があると聞き、急ぎその町に向かう。


だがそこで確認できたのは、国が所有する乗り物の残骸と、兵士の装備一式のみ。


ギルドマスターに話を聞くと、死体は既に教会へ送られた、と。


確認の為教会へ向かうが、残念ながら死体は既に火葬された後。


兵士と御者の死体はその特徴から間違いないと判断。

そして残る召喚者だが、これは死体の損傷が激しくカードを確認し、召喚者本人のカードと確認。

ここで死亡が確認された。


「皇女様、まさかこのような事になろうとは。」


ビートロネラを護衛している女性騎士がそう言葉をかけるが、ピートロネラは納得がいかない。


「いえ、これは何かの間違いですわ。未だゆうしゃ様との絆を感じます。私はその絆を追います。」


こうして皇女は僅かな供だけを従え、召喚者を探す旅に出る。


こうして探しに出るが、召喚者は既に国外に出た模様。


皇女は供の制止を振り切り、国外へと向かっていく。


そしてその数日後、魔王による神聖帝国への侵攻が開始される事になる。一気に急襲をかけ、神聖騎士を壊滅させることに成功、その勢いのまま一気に帝都を陥落させ、帝都にいた皇族全員を殺害する事に成功する。


魔王は知らなかったが、唯一ピートロネラのみが国外にいたため襲撃を免れるという、想定外の出来事が起こっていた。



たった一人の姉による嫉妬のせいで、一夜にして神聖帝国ロンドロッグは滅んでしまった。


そしてこの報はグビッシュ王国へともたらされ、緊急会議が行われ、急ぎ勇者召喚を執り行う運びとなった。


「急げ!恐らく次は我が王国が狙われるだろう。それまでに何としても勇者召喚を成功させねばならぬ!」



アロイジウス国王はそう言い放ち、取り急ぎ勇者召喚を行う事を決意する。


しかし準備の時間が圧倒的に足りず、どう見繕っても間に合わない。


「致し方あるまい。こうなればこのまま行うしかあるまい。」


悲壮な決意。

本来勇者召喚は長い時間をかけ準備を行う。

時間をかけて準備を行う事により、安全に召喚が行われるのだ。

しかし今はそんな悠長な事を言っている時間がなく、悲壮な覚悟を持って召喚を行う事を決意する国王。

【皆、すまん。皆の命をくれ。】

この日、王都にいる王族は全員城へ集まった。

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