第368話 案内された先で見たものは

僕は今案内人の少年を連れ立って、3人で移動しています。


ヘイマンス子爵には後でもう一度話をする、という事で帰ってもらいました。

今度は子爵邸での懇談を、という事で納得してもらいました。


万全を期すために?この少年も今は認識阻害のアイテムを装着し、周りからは気付かれにくくなっています。


暫くすると、ある建物の前にやってきました。


「この中にいるのを何度も見たよ!」


少年はそう言い、

「うわ、今もいるよ!」


建物の中に誰かいるようですが、僕からは見えません。

しかし、入り口の方に誰かが入っていくのが見えました。


あれは!

すっかり変わり果ててしまってますが、元勇者、森信 界人(23)が歩いているのが見えます。

しかし僕はその変化に驚かされます。


生気が全く感じられないんです。


濁ったような目、ふらふらと心こにあらずといった感じで歩いていくその姿。


そして建物に入っていきますがそこで見た事は、一生忘れられないほどのインパクトがありました。


横で同行者がゲーゲーしています。


僕もゲーゲーしています。


少年もゲーゲーしています。


忘れよう。そう、僕は此処には来なかった。だから見なかったんです。


そう思いたかったのですが、これではいけない!そう思いつつ、2人を引き連れ、少し離れた場所に移動します。


「公爵様、私は夢を見ているのでしょうか?」

同行者がそんな事を聞いてきますが、これ悲しいけど、現実なのよね。

誰かが言った言葉のような気もしますが。


注:わかる人はわかる元ネタ。少し変えてます(-_-;)


「いや、あれは目の前で起こった出来事だ。いったいどうなってるんだろう?」


森信君は建物に入ると、その、同じく追い出された女性に抱き着き、キスをし、その後お互い裸になって・・・・


これ以上は見てられないと、急いで逃げてきたんです。


因みにその女性は、もともと転移者の中で、女性の集まりの中心者の一人で、その後友郁や泉達の持ち物のうち、生理用品を盗んでそれが発覚、王都を追放になり、この町に連れられてきた一人で、あの、ふくよかすぎるあのおばちゃん・・・・


森信君は彼女とその、信じられない行為をしていました。


彼はこう言っては何ですが、侍女を犯していた事から、そして元彼女は見た目モテる女子高生、性的にはノーマルといいましょうか。なのにあれはあり得ない!そう思ってしまいました。


それと気になるのが、森信君は死んだような表情をしていた事です。

何の感情も読み取れない、何かを失ってしまったかのような。そしてあのおばちゃんに関しては気になる事がありました。

確か先ほど、ここに来た転移者を掌握しているような事を聞いたような気がします。


つまりは何らかのスキルで支配している、という事なのでしょうか?

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