第366話 ヘロルフ・ニコラース・ヘイマンス

「常山公爵様、私の事は恐らく知らないと思いますので、自己紹介をさせていただきます。」


そう言ってこのおじさん、自分の紹介をはじめました。



ヘロルフ・ニコラース・ヘイマンス


この町の領主の名前のようです。


因みに町の名前もヘイマンスらしいです。


まあどうでもいいですが、とこの時は思ってしまったのですが、こんな事ではいけませんね。


何せ間接的にこの町に関わってしまってますから。

何がって、問題を起こした転移者をこの町に送りつけましたからね。

厄介者を引き受けてしまったこの町、そして領主。

その後の報告がなかったので、5年も放置してしまいました。


「ヘイマンス子爵、突然来てしまい申し訳ありません。」

「いえいえ!そのような事はございませぬ!しかしここに来られたという事は、転移者でございましょう?」

やっぱり何か悪さしてる?

「そうなんです。僕が直接ここに連れてきたわけではないのですが、ギルドがこの町に悪さをした転移者を王都から追い出したわけですから、当時僕もそれに関わっていましたから、今更ですが気になってしまいまして。」


それに報告が気になります。


「実は当初、俺は勇者なんだと喚いていた愚か者がいたのですが、ある日を境に突然大人しくなり、その後は死んだ魚のような目をしていましてね。」


うん?森信君の事かな?


「はあ、勇者だった森信君でしょうか?」

「さあ?まあそれはどうでもよいのです。」


どうでもいいのかい!と突っ込んでしまいそう。

では何か別の問題が発生しているのでしょうか?」


「それはですな、この愚か者と結婚した御婦人の事なのですよ。」


ああ、結婚したんだ?でも目が死んでるんですよね?いまいちわかりませんね。


「ええと、その後その御婦人は何か問題を起こしたのでしょうか?」

「ええ、今現在この町最大の問題といっても過言ではありません。」

いったいどんな人なのでしょう?

「まあその、私などは二度と見たくないような姿なのですが、あのようなのとよくもまあ結婚しようと思う人間がいたものだ、とつい思ってしまうのですよ。」


あまり人の容姿をどうこう言いたくないですし、そういうのを聞いてあまりいい気はしませんが、何のつもりでこの子爵はこんな事を言ってるのでしょうか?


「時に公爵様、その御婦人ですが、とんでもない体形で、その、ふくよかといいますか、もはやそれを超越していると言いますか。」

ああ、そういえばいたね。

確かにいた、うん居た。

ナプキンを盗んだ中心者。

転移者の集団のうち、女性ばかりの集団の中心者の一人。


え?確か結構いい年したおばちゃんだったはず。

それに森信君はグラマーな女性が好みっぽかったと記憶してるのですが、ええ!あのおばさんと結婚したの?流石に信じられません。


「そのあまり思い出したくはないですが、覚えています。彼女が何か?」

「どうやら魅了か、それに準じたスキルを使っている様で、どうやらそのスキルを使い、愚か者と結婚したようなのですよ。」


ごめんなさい子爵。それはまあ、森信君は不運だとしか言いようがないけれど、ここまでの話ではそんなに深刻な問題とは思えないのですが、他に何かしでかしてるのでしょうか?


「ヘイマンス子爵、それで他に問題があるのですか?」

「ええ、問題なのはその御婦人ですよ!どうやら他の転移者にも同様な行為を繰り返し、完全に支配下に置いているようなのですよ。」


色んな意味でめんどくさそうな予感がします。

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