第314話 冷静になって気が付いたけれど

僕はもうオイヴィさんが抵抗しないので、やっと落ち着いてきました。


オイヴィさん、エリクサーのせいで調子が悪くなってたはず。

なので僕はあの動きに難なくついていけましたが、オイヴィさん本来の動きをされたらどうなっていたか。

しかも意外とドジってましたし。


そして僕はふと思いました。


もっと彼女の祖国の事を知りたい。


だけどここで冷静になってみると違和感が。

あ、その前に怪我を回復してあげないと。


もう今更ですが、オイヴィさんはもはや抵抗をする意思がないのか、僕のなすがままです。

まあ肩を背中側から剣で貫通させられていたら腕が動かないので、もはや抵抗する気力もなくなっているのでしょうが。


そのまま抱え上げ、お姫様抱っこでベッドに連れていきます。


「あ・・・・このような抱き方・・・・恥ずかしい・・・・」

本人痛みがすごいのでしょうが、そんなそぶりも見せてません。


「その、痛いよね?今治療をしますから、おとなしくしていて下さいね。」


「わかった常山公爵殿。敗者は素直に勝者に従うものだ。受け入れよう。」


僕はそのままベッドの上にオイヴィさんを下ろし、さっそくエリクサーを使います。

怪我なので、スプレーをシュッシュッします。


するとみるみる怪我が治っていきます。

今は仰向けですが、そのまま抱え起こしうつぶせになってもらいます。

本人はまだ腕が動かないので、ベッドの上で体を起こすのは困難なんです。

そして再びシュッシュッします。


すると怪我は完治したのか、オイヴィさんは起き上がります。

あ、浄化をしておかないと。

「ちょっと待って。怪我は治ったかもだけど、血で凄い事になってるから・・・・浄化!」


みるみるオイヴィさんはきれいになります。そしてきれいな顔が現れ、オイヴィさんは僕をじっと見つめてくるので、ドギマギしてしまいます。


オイヴィさんも自分の怪我が治って、身ぎれいになったのを実感したのか、

「敗者にこのような振る舞い、良いのか?」

「いや、そんな怪我のまま放置とか、そっちのほうがつらいから。」

「そうか、感謝する。そして今後の我の身の振り方なのだが、死なせてはくれぬのだろうな?そうなると・・・・奴隷か?」

いや奴隷って何言ってるの?

そしてここで僕はようやく違和感が何かに気が付きました。

そう、ここは僕の領地。まだ実感がないですが。

そしてオイヴィさんは別の国からやってきました。しかし僕と接する中で、オイヴィさんの祖国がどこかを知るのは、オイヴィさんが僕がオイヴィさんに求婚をした、そう思ってからの出来事で、しかもオイヴィさんは僕にどこの国出身か言わなかったし、あれ?これはひょっとして?

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