第260話 さらに変化は続く
僕を含め、フェンリルの住処?から出てきた5人は只々眼前に存在している”壁”を呆然と見つめていました。
「ここ、森だったよね?」
僕はそう呟くと、友郁が
「うん・・・・」
ただそう頷くだけしかできません。
「侍女さん達が修復したのでしょうか?まさかここにこんな建造物がかつて存在していたとは・・・・驚きですわ!」
泉は皆よりも早く立ち直ったのか、その様な事を言います。
「僕も修復したけれど、あれは魔力をごっそり持っていかれるし、中々きつかったよ?それを侍女さん達がやったの?これ全部?」
どこまであるのかわからない壁。
ざっと全長1キロはあるんじゃないかな?いや、ひょっとしたら2キロとか3キロとか?
どこまで続いているのか目視できないのであくまで目測・想定ですが。
そんな事を思っていると、いつの間にかアーダが傍にやってきていました。
「まさしく城郭都市。元はたいそう見事だったのだろう。これはなるべく早く職人を呼んで、壁や建造物の修復に当たらせなければな。」
よく見ると、僕が修復したのと同じく、元々の壁が風化して、壊れた後、風などで細かい粒子はどこかへ飛んで行ったはず。
付近にないので、修復は完全にはできないんです。
代わりの素材があればいいけど、ここにはそんなに無さそうだし。
すると、柚奈がアーダに聞き返している。
「ここは城なのか?」
「うん?古手殿、城塞都市だな。機能的な壁に囲まれた都市。この壁は恐らく単に魔物除けではなく、他国の軍隊から攻め込まれた場合を想定して、建立したと推察できるのだ。」
「ではこの壁の中心なり何処かに城があるのか?見たところそれらしき建造物はなさそうだが?」
「それは今後調べて見ぬ事には・・・・ただ、もう人が住まなくなってから相当時間が経過しているはず。原形を留めている建造物がほとんどないのがその証左。」
「そ・・・・そうか。」
あれ?柚奈は何を残念がっているのだろうか?
「どうしたんだい、柚奈?」
「ああ順平、一寸な。」
「もしかして何か城にこだわりがあった?」
すると何かに驚いたのか、柚奈は僕をまじまじと見てきます。
「ど・・・・どうしてわかったのだ?城の事なんぞ一度も話をした事はないはずだが?」
「うーん・・・・顔に出てるよ?」
「え?本当か?」
そう言って鏡で自分の顔を見ているようですが、いやいや、そういう意味じゃないんのですが、かなり動揺しているのかな?
「その・・・・城と言えばな、ドイツの城を真っ先に思いついたのでな。ここで日本の城が建っていたら違和感しかないだろうが、ドイツの・・・・ひいてはヨーロッパの城なら、有りそうだろう?」
僕は外国へ行った事がないので、映像でしか知りませんが。
後は小説なんかに出てくる城?
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