20ページ目:雨だらけの夜
灰空広がる夜にあるのは
白く闇を切り取る雨と
ぽつり佇む電灯だけで
人通りすらありゃしない
だから半透明の傘越しに
空を見上げてみても
白線が落ちるのを知るだけで
向こうに居るはずの月星も
この瞳には映らない
くるり傘柄を回しては
一人夜歌を歌って
見えないはずの月を星を
唇の内側に浮かばせる
今日の雨だらけの夜道には
見守ってくれる
月光も星光もいないから
あたしは一人そっと
歌だけで寂しさを紛らわす
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