350 裏側
本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい
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「お前達!聞いたか? またレッドナイトが退治してくれたらしいんだが」
一人だけ格好の違う騎士が見回し
馬上から声を上げる
「え、えぇ巫女様もいらっしゃったんだとか? あれ?けど確か貴族様が伝達送れって、、」
アーマー姿の直近では無い部下からの返答
だがコレは確認事項では無く
「あぁその件なんだが今この状態、大いに情報が錯綜(さくそう)しているからな 念の為、大事にならぬよう例の喫茶店には俺が向かっておく! なんせどこぞの王子や姫もいるらしい 役職の無い者らでは荷が重いと思っての判断だ」
周囲への承認
男は徐々に声量を上げ自らの部隊に告げた
「え、でも隊長は魔物討伐に向かった方が宜しいのでは?」
「ははっ、もう近衛兵以外出払ったんだぞ?十分過ぎて手が余るだろう あー片道で五、六時間くらいかかるんだったか?往復でー 中々にキツイな、寝る暇無くなるだろうから明日は非番としておくぞ」
「は、はぁ」
「お前達は現場付近に着いたら固まらないで各個別隊の補助して回れ」
「わ、分かりました」
・・・
何処にでもある話だ
「喫茶店って確か元あの村のトコだよな?そんなにかからね~つの! 馬休ませても今日中に帰って来れんだろが」
出来の悪い、または
「昨日も昼過ぎから来た癖にな」
やる気の無い上司
それに伴い溢れて来るのは
「ずりぃよなぁ」「副隊長にはそのまま伝えて良いんだよな?」
「アイツ絶対腕だけで隊長になっただろ」「いや、口も上手いし貴族とズブズブなんだろ?」「別隊への媚びも売るしな」「それなのに俺らにも愚痴るじゃん」「分かる!」
「はぁ、別の隊に異動してー」「はは、ミツ爺の所だったらいつでも空いてんじゃね?」「無理無理、真逆過ぎて付いて行けねーって」「隊長格ってなんだかんだ曲者ばかりだし取りまとめの上手い人達の所なんか絶対空き出ないだろ」「そんなもんだよなー」
「はぁ、あーあ、、なんだかなぁ」
当たり前の愚痴、それと溜息を溢し
騎士達は遅れながらも民の元へと向かう
同時刻 別の王国
「びゃっくしょん、だぁああ!マジでぶん無げ案件じゃねえかあんにゃろめ」
盛大に唾を飛ばしながら短い髪をバリバリと掻き散らし
男は煙をくゆらせる
「っつー事ですんで本当に動くなら多人数、しかも確実性も無いのに危ない橋ときたもんだ 無理でしょう、絶対集まりませんぜ」
対面の男もまた煙草に火を付けてから紫煙を吐き出し、やれやれとばかりに首を横に振る
「あー、まぁそうね こんなんじゃ金額だって釣り合わね~からボツだわ」
(そもそもこんな手段じゃ犯罪紛いどころの騒ぎじゃねぇ、ド級の大罪人になっちまうっつの)
「別件考えるか~ でも急がないとヤバイらしいんだよね~」
「そんな事言ったって安否取れてるのも先月の13日なんでしょ? ほぼ一ヵ月って望み薄過ぎない?」
横で空き箱に座る女
それと
「ってかその手紙に書いてある事だけだとその部分も良く分からなくないか? 考えてもみろ、届け物が本人に渡ったってのをどうやって確認取ったんだ? 情報自体が不確か過ぎる」
地べたに直接胡坐(ちょくせつあぐら)を組む痩せ型の男からも声が上がる
「相変わらずお固いと言うか慎重派、見事だと思うけど確かな情報だから信じて頂戴な どう転がっても頭上がらない人っているじゃん?頼むよ」
「、、まぁ、コウさんが言うんだからそうなんだろうが、割に合わな過ぎないか? 王国が怪しいのは前からだ、最終的にはそのおかげで俺らみたいな裏側にも金が回ってるのも事実 ソコに踏み込んでまで助ける相手がガキ一人なんだろ?ハイリスクローリターンとはまさにこの事だ」
「だよね、俺もそう思う」
「だったらせめて倍、いやそれ以上は積んで貰わないとだ 一夜でトンズラかまして海渡るか三つ四つ町をかっ飛ばしてから暮らせるくらいは」
「待って待って流石に盛り過ぎだって、ミスってそうなった時には船代くらいは出すさ ただそうならない様にするのがみんなの仕事でしょうが」
「勿論仕事は熟(こな)すさ」
「じゃあ 大丈夫じゃない? それに多分、こっちの事も考えての人選なんだよなぁ」
「え?」
「あーいやこっちの話、少し時間経ってからになるかもだけど要はローリターンにはならないんじゃないかって事よ」
「ほう」「マジ?」「本当か?」
「あぁ」
「巫女の勘ってのは良く当たるんだよ」
此処はディーン王国西区
通称
スラム街
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