287 霧散

本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい



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開始早々に、いきなり不穏な空気になってしまった

なので少し火傷した手は黙っておくとする


そんな少し濁った空気を読んだチャラ男が

「あ~、このくせ毛少女さ~、言ってる事全然分かんないし悪い奴なんだろうけど、、大きくなったら美人にはなりそうだよね?」

といつもの軽口でふざけだした

もちろん双子がいつも以上の強さで、しかもグーで右から左からとツッコむ

可哀想に、その後もマッチョなエルフから強めのゲンコツをもらいガチの涙目、、体を張って役割を果たしてくれた様だ


「姫様はアルちゃん達の近くで支えになってあげて下さい」


双子の白い方がこの後映る映像を思い出したのか、エルフのリーダーへとバトンを渡す


それを聞き入れ


「ん、あぁ、うむ?  何かあったか nyぁ!?」

真剣な顔つきの族長が急に表情を歪ませビクっと跳ねた


遠くからでは分からないのだが多分白い方がそのまま尻辺りを撫でたか抓(つね)ったかしたのだろう


「姫様はとにかく飲んでりゃ良いんだから、これ持って早くあっち行く!」

続く様に黒い方がラフィの目の前に強めの酒を置く


「うぇえ?あ、あぁアルの、、支え?   あ!! ああうん、アルチャンノチカクに だな  ワワワカッタ」


きっと分かっていない


美人が恥じらいも無く尻を擦(さす)りバタバタと席を移動するのだが


「ちょっと! 真剣な場面なんだからラフィは大人しくしてて~」

とツインテールからも雑に頬を押されている


、、うん、これはイジメなのでは!? とか思ってしまう程の扱いだ

(可哀想に、ラフィ本当最近こんなんばっかじゃないか?)


そんな、ちょっとしたごちゃごちゃをしていたら




例の画面になった




「ん~そんで? 今映ってるコレはお前さんなんだよな?」

烏天狗が躊躇(ちゅうちょ)せず、双子じゃない方のソックリ姉妹に問う


「、、恐らく   ごめんなさい、日も経ってないのかもしれないのに、あまり覚えていません」


「まぁ、あのライオン連れて来たんだし間違いは無いだろ 『アイラの子』 ねぇ」


ズケズケと、容赦無く深い所の話を進めるライアに多少の嫌悪感を覚えた



のだが



「あたし、、ってか違う、あたし達みたいのがいっぱいいたと思う から 多分みんな、全員が『アイラの子』なんだと思う」

ツインテールをした当人の腹は決まっている様子だ


「にゃあ? 良く分からなくなってきました」


「え、、そうなると?」


「全員がアル姉ちゃんなの?」


「なんかそう考えると便利そうじゃない?」


良いのか悪いのか

おバカさんみたいな猫達が喋るからこそ温度的に丁度良い気がしてきた


「、、そういえばアンタの名前は無いの?」

最後の一匹、軍師が映ってからずっと尻尾が忙しいももが甲高い声で呟く


「名前、、無いと思います、ナンバーで呼ばれていたので」

「あ、そ!それはあれなんだよ!多分コレ、エバ化の後から、こうなってからアルって呼ばれ出した気がするの」

姉?を庇うかの様に、話を進めようと自分の足をカンカン鳴らす


「ナンバーのぉなんかそんな感じの事をエバが言っておった様な?」


「ナンバーで呼ばれるとか! 格好良いのよ!」


酒瓶片手なのと口の周りすげぇ事になってる吸血鬼がまたもおバカちゃんみたいな言い回しで参戦だ

と思ってたら


「何番だったの~」


シャーマンも空気読んでか天然か分からん感じに聞いて来た


「コードネーム!? コードネーム的なやつよね!? こちら!ダーク、みたいな? えっとダ、ダーク キング  ダーキング、ダンキング!?」


「いや、あの、皆さん落ち着いて、一回落ち着きましょう?  あとお嬢様それ、ビスケット浸して食べる!みたいになってますからね?」


従者が少し大きな声で手を叩き、ちょっとだけ場は静まった


混沌にするのが本当に上手いメンバーだと改めて思う



でも



本当に助かる



(少女達のが腹、決まっちゃってんのかよ)



そんな俺の温度まで



「ジンさん、多分、、全部吐き出して大丈夫だと思いますよ?」

バルが見える位置から小声をくれた


「、、ほんっと、お前ら   マジかぁ」


良い意味だ


良い意味



もう、俺くらいの俺なんかのつまんない事で悩まない


みんなでどうにかして行こう、、いや、全部頼ってやろうって思った




だから




「不安な事、俺の知ってる限りの事  半分空想かもなんだけどさ、全部言うわ」


泣いてはいない




嬉しくて


震える唇を噛み締めた

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