233 手紙

本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい




あれは幾つだったかな




シエルがまだ、、いや、もっとか




もう少しだけ




お前が小さな時の話だ












【なるほどそうですか、、では奥で詳しく聞きましょうか】


【すみません、よろしくお願いします】



夕方になろうと言う時間に面倒なトラブルを抱えた者からの相談

それでも王都の大神官である私からしたらいつも通りの、平和な日常であった

しかしそれは大人の事情であり


子供達には何の関係も無い事だ


【時間がかかってしまいそうだから夕飯が少し遅くなっ!うおお】


思えばあの時も殺人予告の様な台詞と共に繰り出された目つぶしを咄嗟にかわしたものだ


【少しだけ、少しだけだから、、少ないけどこれで軽くおやつでも食べてらっしゃい】


簡易的に短時間でも大人しくなる様に私はお小遣いを渡しました


大人しい依頼人のお子様、よく一緒に遊んでいた近所の子供達、それと人形の様に無表情な顔をしたシエル

皆幼いながらにお礼を言う中、お前だけがまるで盗賊かの様に奪って行きましたね


それでも私には良い思い出です


その中で一人だけ発育が良い体の大きな男の子がいました

コウちゃんの事です

昔は良く遊びに来ていましたね、今では懐かしく思えます



これは後程(のちほど)直接本人から聞いた話なのですが・・・



気が大きい所があるコウちゃんは依頼人のお子様からお小遣いを取り上げたんだそうです


たかだか百円だったのですがどうやら初対面、初めて聖堂に来たというのに同じ額をもらえたその子に腹を立てたんだとか、、子供らしい嫉妬心と言う所ですね


コウちゃんは二百円分のお菓子では無く、簡素な玩具を購入するといの一番にシエルの元に向かったそうです



一緒に遊ぶ為に来たと言うコウちゃん


玩具を目の前にしたお前は無表情のままソレを破壊した後に彼を躊躇せず








ぶちのめしたと聞きました








今もそうですがお前の成長は他の子よりも遅く、その時も三倍程の体格差があった筈なのでそれはそれは驚きました


両者共に大事に至らなくて良かったと思ったものです


たかだか百円、されど百円

年齢や人によって価値が変わってしまうモノですね

いや、お前はそういう事で手を上げた訳では無いのでしょうが、、おっと、話が反れてしまう所でした

昔話は思い返すだけでいくらでも出て来るものですね、本当に、微笑ましい

お酒を飲みながらもっと話して聞かせられたらと少し悔やみます、勿論シフも一緒に




そうそう、結末でしたね

わんわんと泣くコウちゃんをあの子の元へと連れて、、連行した後

お前は自分が買った分のお菓子を全て二人に渡したそうですね




毎回思うのですが

お前は一言足りないと言うか何と言うか

恥ずかしがり屋なのかそれとも面倒臭がり屋なだけなのか私でも謎に思う事が多いのですが

根が優しい分勘違いされ傷付いてしまうのではないかと心配に思います


少しだけ、もう少しだけで良いから


どうぞご自愛ください
























さて


シフ


恐らく貴方が先にこの手紙を手に取るのだと思います



三枚目のこの用紙だけはシフ宛だと思って構いません



卑怯だと思われるかもしれません

どう弁解しようが詭弁(きべん)となってしまうでしょう

しかし貴方の方がきっと、、いや貴方は知っておかなくてはいけないと思い、記します



先に

『魔法を使える者について』



・・・・・・



一つ目

そこには魔力の強さや扱う為に必要な事項とリスク


それと


混血種である者についての記載があった



二つ目

特殊なパターンがあると言う


それは精霊や悪魔、はたまた天使や神と呼ばれる者達と契約やら呪い

所謂(いわゆる)取引を行い取得するというモノだ


ゼブラ様自身が混血では無いのに治癒能力を携えていた理由がコレだ


この取引には代償が必要であり


そのテスト、、被験者であり



志願者であったと言う事



そして


大王ディーンも同一、特殊なパターンで魔力を保持しているらしい

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