99 規範
本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい
8/23 23:10
「ももは、本当に死ぬ寸前じゃったからなぁ ソレを呼び戻したんじゃ代償も大きいじゃろ」
赤鬼が横たわる少女?の髪を優しく撫でる
甘かった
身体が怠い、酷く疲れるくらい、熱が出る程度
それくらいの認識だった
「シエルってさ、、その子とは 初対面 なんだよな」
「そうじゃろな~、知り合いの様には見えんかったのぉ」
「、、そっか」
血の気の無い真っ白な手を確認する様に握る
氷の様に冷たい
「ちっさい手だな~」
あまりにも
死体の様に見えた
皮肉にも、窓からの月明かりが照らす整った顔立ち、細い足腰が何かの美術品の様にも思わせる
(こんなにも、壊れてしまいそうな身体で)
口が悪くいつも飄々(ひょうひょう)とした態度の巫女シエル
何を思い何を考え、そして何を願いどれ程の人間を救っているのか喫茶店のマスターには想像もつかない
ただ
腹は決まった
「はぁ~、くっそ~ 飲み食いくらい好きにさせてやるか」
またも泣きそうになるところをぐっと堪える
「カカカ、それは喜びそうじゃの」
「潰れない様に少し利益の出るやり方考えないとな~」
「リッツに相談してみたらどうじゃ? 儲け話の一つや二つくらいあるじゃろ」
赤鬼は巫女のシーツを丁寧に直すと茶トラの猫娘が眠るベットへと向かう
「うんうん、傷口も綺麗さっぱりじゃ 明日には勝手に消えとるんじゃないかの?」
「え?そこは情報共有しないとじゃね? 礼も言いたいし」
「お~? 目~覚ますまで待っとるか?」
「それくらい別に良いけどさ、、あ~でも、え~と、またぶん殴らんないかな?」
誰にも腕力で勝てないせいか少し臆病になっている自分に気付く
「あっはっは、この状態じゃやられるかもしれんのぉ」
わざとなのか茶トラのシーツを一度思い切り捲(まく)ってから綺麗に整える
「、、壁際で膝抱えて座ってるわ」
「あ~、それは でも ホラーとかでなく 気持ち悪いと思うがの?」
「うっせぇよ」
悪気の無い赤鬼の言葉を軽口で返し、茶トラ娘の顔を覗く
・・・
「この娘はなんで俺を守ったんだろ」
「起きたら聞いてみたらどうじゃ?」
「え、え? それは殴られるの前提で?」
「くふふ、そうじゃの」
「いや腹は決めたつもりだけどさ、、一発で意識無くすレベルのパンチは回避するに越した事ね~よ?」
猫娘の額に手を当て熱等が無いかを確かめる
「しかし、ジンはアレじゃの~」
「ん?」
「慣れとるのかの?」
「え? 何に?」
「裸体に」
「、、あ~」
ベットへ横になっている二人
ももは傷の具合を見るのもあり上半身は羽織り一枚
シエルに関してはシーツ一枚である
「いやいやいや!意識して無かったし 見てないしぃ?いや、見たけど ロリコンでも無いし!? そんなん言ったらお前シフもめっちゃ見てるや~つ~じゃん」
「え~、いや、、軽くからかっただけじゃろ 急な言い訳が酷いのぉ」
舌を出し、赤鬼が本当に引いたかの様な顔をする
「ぅ、ぅ~」
病人達には迷惑なやり取りで茶トラが寝がえりをうつ
「あああ、ごめん 寝て~寝たら良いよ~」
「ジンの声が煩かったんじゃろ」
「お、おま!」
カセンを軽く睨みながら、もものシーツをかけ直すと何やら下から声が聞こえる
「ち」
「 ち?」
恐る恐る茶トラの顔を振り返るが
、、しっかりまだ眠っている様に見える
(あぶね~! マンガで言う所の「痴漢~」だもんな)
大きく一息吐き
ゆっくり方向を変える
のだが
「ちくわ~」
ジンの尻をももの張り手が襲う
スパァアン!
謎の寝言と共に良い音をさせたジンは部屋の入口へと大きく飛ぶ
そこに
「シエル様~、白湯とジンさんの作ってくれたお粥で、、!?」
従者が絶妙のタイミングで扉を開ける
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