召喚獣の異世界物語

黒太

プロローグ

召喚者と召喚獣のファーストコンタクト

「と、いうことなんですっ! お願いしますっ!」


 少女が少年にペコリと頭を下げる。その顔は真剣そのものだ。少年は微笑むとその少女に言った。


「お断りします」


「どっどうしてですか!? こんなにも真摯に必死に熱心にお願いしているのに!?」


 少女は断られるとは夢にも思っていなかったようで、ものすごく慌てふためいている。


「ここは、『分かった。僕で良ければ力になるよ』とか言う場面でしょう!? というか、言うことを聞いてもらえないと私の立場上とっても困るんですけど!?」


「ここで快くお願いを聞き入れるのはアニメや小説の主人公空想上の人物だけだ! それに、お前が困ろうと僕には関係ない!」


 動揺した様子の少女を手ひどく突っぱねる。少しひどいかもしれないが少年からすればその少女の『とんでもないお願い』を聞き入れる訳にもいかなかった。


「うぅ…確かに関係ないかもしれませんけど………何もそんな言い方しなくてもいいじゃないですかぁ……」


 さすがに言い方がきつすぎたのか、とうとう少女がべそをかき始めた。

 もともと可愛らしい顔つきをしていたし、涙目のその少女を普段の少年が見ていたら多少ドキリとしていたかもしれない。だが、彼は突然の状況に困惑しており、それ以上に少女の『ある言葉』が頭にきてそれどころではなかった。


「それになんなんだよ……僕が………召喚獣って!!!」

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