第69話 息子のおませ発言

 六歳の息子がある朝言いました。

「僕ぐらいの歳になるとさ、みんな好きな人ができるよね」


私&夫「「!!!」」


私「いや、みんなでもないと思うけど」

夫からのテレパシー(おもしろそうだから、話の腰を折らないでくれ!)

私からのテレパシー(ご、ごめん……)

夫「そうだね! それで? ○○(←息子の名前)は誰が好きなの?」

息子「えっと……。(小さい声で照れながら)アイビーちゃん」

夫「アイビーちゃんかぁ! いい子だよね。で? アイビーちゃんはガールフレンドなの?(←むちゃくちゃ興奮している)」

息子「ううん。学校で遊ぶけど、ガールフレンドとかじゃないよ」

夫「そっか〜」

息子「でも、みんなだいたい後悔するんだよね」


私&夫「「え?!」」


 夫が笑いをこらえつつ、後悔ってどういう意味なのか、息子に根掘り葉掘り聞きました。


 息子は八〜十歳のお姉さまがたといつも一緒に遊んでいます。その中に二人ほど、好きな人ができて、ガールフレンド・ボーイフレンドの仲になって、別れて、今では「あんなやつ大嫌いだ」「なんで好きだったのかわからない」と言ってるおませ女子がいるらしいのです。


 そんな様子を見た娘(息子のお姉ちゃん)が「私は好きな人とかいないわ。だって、みんなけっきょく後悔するじゃない」とかっこいい(?)発言をしてたらしい。


 息子、ここ最近、久しぶりに同級生のお友達と遊べる機会が増えました。すると、みんな好きな人がいるらしいのです。自分もアイビーちゃんがちょっと気になっている。で、お姉様がたの発言を思い出して、「みんな好きな人がいるんだな。どうせ後悔するのになぁ」って、六歳児にしては渋いことを思ってたらしいです。


 小学生の恋バナ、きゃわいいです。


蛇足:アイビーちゃんのお母さんは、娘と息子が通う小学校の先生です。スキンヘッドに派手なイヤリングを付けて学校に通うような、ファンキーな先生です。私と同じくアラフォーです。


パンデミックの直前、とあるミュージック・フェステバルに行ったんですけど、私は背が低いので、バンドがほぼなにも見えないことが多いのです。なので、夫が肩車してくれました。二人とも酔っ払いです。中年バカップルです。


同じ会場に、同じように肩車された女性がいて、目が合ったと思ったら、アイビーちゃんのお母さんでした。二人して「あらー!」とびっくりして、肩車されながらハイタッチしました。何千人も集まるフェステバルで、すごい偶然でした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る