第12話 幻獣ピーすけ



 ミクリアちゃんを励ます作戦で悩んでいると、窓の外にちゅんちゅん鳴いてるすずめがとんできた。


 あれ?


 めずらしいな。


 この世界には、すずめなんていないはずなのに。


 このすずめも幻獣なのかな?


 なんて首をかしげてると、頭の中に女の子の声が響いてきた。


「我はピーすけ! ピーすけなのじゃ! お主と同じ世界からきた珍しい転幻獣なのじゃ!」


 すずめは、羽をばっさばっさしながらそんな風に自己紹介。


 鳥と犬ってお喋りできないはずだったけど、とても滑らかに喋ってる。


 おかしいな。


「それは神様が融通をきかせてくれたからなのですじゃ! テレパシーで意思疎通がこなせるようにしてくれたのじゃ」


 ピーすけが言うには、てれぱしーで考えている事が僕に伝わっているらしい。

 へぇー。すごいんだー。


 それから、ピーすけは色々な事を教えてくれた。


 この世界が、乙女ゲームと言われる世界を元にして作られた場所だという事を。


 そこでは大まかな運命が決められていて、このままではミクリアちゃんは、様々な事で困ってしまうという事。


 悪役令嬢にたくさんイジワルされてしまうらしい事。


 だからその困りごとを、神様が遣わした僕達が解決するのがお仕事だとか。


 よく分からないけど、ミクリアちゃんがとても大変だという事だけは分かった。


 だから、僕はよく分からないけど、頑張る事にした。


 でも、何をどうすればいいんだろう。よく分からないや。


「ううむ。神様のやつ、人選、いや犬選を間違えた気がするのじゃ。これは我がしっかりせねば」



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