008話 強い敵を相手に戦いたい
結局、ドロップした長剣も持ってきた。一回仕留めた敵は復活しない仕様なのか、それともリポップがまだだったのかはわからないけど、幸い敵はいなかった。
壁に長剣を立て掛けて、祭壇に触る。
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○アニマ装備
○クラス取得
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増えてる。
よし、どんなだろう。見てみよう。
アニマの項目を選ぶ。ふむ。種類が四つ。
《基礎アニマ》《常時アニマ》《技能アニマ》《身体アニマ》か。
よくわかんない。えっと、ヘルプヘルプ。
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●《アニマシステム》
◇基礎アニマを装備することで、アニマに応じた武術、魔術を使用できるようになります。
◇常時アニマを装備することで、アニマに応じた特殊能力を発揮できるようになります。
◇技能アニマを装備することで、アニマに応じた技能を使用できるようになります。
◇身体アニマを装備することで、アニマに応じたステータスや耐性の強化が可能です。
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……いわゆる、パッシブスキルってやつ?
ちょっとゲームらしさが復活した。クエストとかえらく簡素だし。
続き読もう。
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◇アニマは、レベルと同値のキャパシティに達するまで好きなだけ装備することができます。
◇アニマには、クラスによる装備制限は存在しません。
◇アニマはグレードをⅤまで上昇させることが可能です。
◇グレードを上昇させた場合、グレードと同値のキャパシティを追加で占有します。
◇例:グレードⅡ 消費コスト3
グレードⅣ 消費コスト10
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『グレードと同値のキャパシティを追加で占有』。
グレードⅡは1+2で3。グレードⅣは1+2+3+4で10ってこと。
で、グレードはⅤが最大。
純粋に1ずつコストが増えてく仕様じゃないんだ。グレード上がる度に結構なコストを持っていかれる。
それだけの価値があるってことなのか、そうまでして性能を上げないといけないバランスなのか。わかんない。
あと、これも取得制限ないの? 凄い。しかもスキルツリー形式じゃなくて、クラスの時みたいにすごい数のリストがある。これ全部好き放題取れるの?
いらない前提スキルにポイント使わなくていいのは大きい。
それのせいで諦めざるを得ないシナジー効果とかも簡単に作れそう。すばらしい。
殆どのゲームはレベルが上がっていくごとにスキルツリーを開放したり、スキルポイントを使って強くなっていく。その途中、どれを取るか取らないかとかの取捨選択と試行錯誤を楽しむものなんだろうけど、これは違うみたい。
キャパシティの許す限り最高のシナジーを作っていけってことか。
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◇アニマは同一のものを複数装備することが可能です。
◇アニマは使い続けることで熟練度が上昇し、微量ながら効果が上昇します。
◇アニマは祭壇にて再設定が可能です。
◇再設定の際、アニマごとの熟練度は保持されます。
◇再設定には、《100×(再設定キャパシティ/最大キャパシティ)%》のMPを消費します。
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ステータスによって向き不向きはありそうだけど、やろうと思えばどんなことでもできそう。
再設定もクラスよりはペナルティ低いみたいだし、試行錯誤できそうだ。
……でも何でMPがコストなんだろう。戦闘中に変えられないように……いや、祭壇でしか設定できないんだから結局意味を成してない。祭壇の周りは回復ゾーンだから、消費しようにもすぐ回復する。謎。
……あれ? 使用可能キャパシティ4? レベル5なのに?
キャパシティ上限はレベルと同じって書いてあったのに。1の分数えないとか?
……いや違った。最初から一つアニマがセットされてる。
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●《復讐武術》
◇数多の痛苦と地獄の中、ただ復讐のため歩み続ける者の武術を使用できます。
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これが最初からあったのか。
これは『基礎アニマ』らしい。
最初からセットされてたってことも鑑みると基礎ってことはつけておかないとまずいんだろうか。
……もしかして、これアニマ開放前からセットされてた?
まあでもわかんない。確かめようがない。
さて、それじゃアニマを見ていこう。まずは基礎アニマから。
えーと。
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●《破壊武術》
◇ありとあらゆる物を打ち砕き、己の目的のため突き進む破壊者の武術を使用できます。
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ハンマー使ってそうなイメージ。
装備制限ないゲームだから何でもいいんだろうけど。
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●《殺戮武術》
◇世界で唯一人、己だけの居場所を作るため、全てを殺戮する悪鬼の武術を使用できます。
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物騒。コガラシみたい。
別のゲームで、敵を殲滅するために私を巻き添えに広範囲斬撃をぶっぱなした恨みは忘れない。あのクソ野郎。
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●《首狩武術》
◇武、恐れ、誉れ、そして仲間のため、首を狩り取り数を競う狩人の武術を使用できます。
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蛮族かな? コガラシみたい。
別のゲームで、『落ちたらどうなるかな?』って理由で私を奈落に突き落とした恨みは忘れない。こっそり仕返しのチャンスを伺ってるけど絶妙に機会がない。
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●《崇拝魔術》
◇信ずる何かを信じ、崇め、奉り、己の魂をも捧げた狂信者の魔術を使用できます。
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……崇拝って魔術のカテゴリなの?
もっとこう……なんかないの?
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●《死霊魔術》
◇浮かばれぬ死者死霊の魂を使役し、怨念をもって悪意を唱える者の魔術を使用できます。
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一周回って一番マトモに見える。
他のゲームでもよく見るからだろうけど……。
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●《人体魔術》
◇世界で二番目に強く、最も馴染み深い命の手足胴頭を生み出す者の魔術を使用できます。
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……何これ。
ぱっと目をつけただけでもこの有様。
うん。知ってた。
でもこの説明文、クラスの取得時に出すのが正しいんじゃないの?
クラスの方は……本当にステータスにしか影響なくて、この基礎アニマを別のに変更できるから……とか? フレーバーテキストみたいなことしか書いてないからどんな効果か全くわかんないけど。
……あと、クラスに比べると数が少ない。
クラス一つ一つに対応した基礎アニマがあるような感じなのに、10かそこらでリストが終わってしまった。
クラスを選ぶ時は、もっといっぱい選択肢があったと思うんだけど。
……ああいや、単純な話だ。
アニマを開放する『魂珠の碑石』はあと9個もあるんだ。
だからまだ開放されてないのがあるんだろう。
とりあえず基礎アニマは最初っからセットされてた《復讐武術》でいいや。
次は常時アニマ。
基礎アニマにも増してかなりの数が並んでいる。
まあ適当に見ていこ……お?
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●《復讐》
◇自身がダメージを受けた際に発動します。
◇自身に、ダメージ量に応じた《リベンジウィング》スタックを加算します。
◇攻撃者が複数存在する場合、《リベンジウィング》は攻撃者ごとに個別のスタックとなって加算されます。
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《リベンジウィング》って何?
あ、詳細見れる。
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●《リベンジウィング》
◇自身が与えるダメージ量が、スタック数に応じて上昇します。
◇与ダメージ量の上昇は、自身にダメージを与えた対象にのみ適用されます。
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ふむ。
要するに、ダメージを受ければ受けるほど、攻撃してきた奴へのダメージが増える。
自傷してダメージ稼ぐとか、八つ当たりみたいに他の敵に攻撃しても意味ない。
ってことか。
すばらしい。取得決定。
これを主軸にしよう。ダメージ前提の立ち回り。クソ防御力だから大きいダメージをもらいやすい。そうしてただでさえ結構なことになってる攻撃力を強化して叩く。クラス取ってない状態の4倍……今はレベルアップしてもっと高いかも?の攻撃力だ。生かしていきたい。
と、すると《復讐者》のクソ防御力でも死なないようにしないといけない。
ちょうどいいのは……あった。
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●《忍耐》
◇自身の残りHPを上回るダメージを受けた際に発動します。
◇忍耐障壁を生成し、自身のHPを1残して超過したダメージを無効化します。
◇忍耐障壁には耐久値があり、無効化できるダメージ量の上限があります。
◇忍耐障壁の耐久値は時間経過で回復します。
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いわゆる『食いしばり』か。
いいね。序盤から食いしばりが使えるのは大きい。
受け止められるダメージに上限があるけど、これで耐えられないような攻撃を繰り出してくる相手と正面切って戦うのが間違ってると思う。
……復讐者のカスみたいな防御力だと、普通に突破されそうな気もするけど。
このままキャパシティ上限まで揃えていこう。
あと2つ。
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●《逆境》
◇常時発動します。
◇自身のHPが少なければ少ないほど、自身の物理攻撃力・魔法攻撃力・侵食力が上昇します。
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●《再生》
◇自身のが減少している場合に発動します。
◇自身のHPが少量ずつ持続的に回復します。
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よし。これでいこう。
《逆境》は復讐スタイルに相性がいい。倍率のかかり方にもよるけど、復讐とセットで使えばきっと火力がヤバいことになる。
《再生》は保険だ。継戦能力がないのを、これで多少なりとも補えるといいんだけど。
……《技能アニマ》と《身体アニマ》を確認する前にキャパシティが埋まってしまった。
うーん。まあ確認はまた今度でいいか。
もっといいのがあるかも知れないけど、正直探すのが面倒くさい。
単純に数が多すぎる。
よし。
じゃあ早速試しに戦ってみよう。
まだこの辺の敵は復活してない。
それで、せっかくだから、強い敵を相手に戦いたい。
というわけで、私はあの目玉剣士と戦った場所……の手前で上から見下ろした、腕の怪物がいる部屋にやってきた。
ここまで来てよく見てようやく分かったけど、あいつには腕に埋もれるようにして、上下逆さまな小さな顔があった。『ここが弱点なので攻撃してください』と全力でアピールしてる。
ならそこを殴るしかない。
これは検証も兼ねてる。だからやることは簡単。
わざと攻撃を食らって、《忍耐》を発動させる。
そのあと《復讐》と《逆境》の攻撃力バフで全力で殴る。
シンプル。
いざ!
死んだ。
私は悲しみを覚えた。
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