第59話 密約

アルル「ヤムを殺す。。か。。」



アルル「失礼だが君には無理だろう。ヤムの実力はアナト様にひけを取らない。」



剛本「確かに今の私では無理でしょう。」



剛本「そこで、貴方に賛同する議員達を集めてもらえませんか?」



剛本「そして一人ずつ能力を私に移譲してもらえませんか?」



剛本「ヤムと同等かそれ以上になるまで。。」



アルル「。。確かに移譲は捕食と比べて確実にチカラを相手に複製出来る。」



アルル「しかし、同時に全身のナノマシーンをフル稼働させるのでかなり負担の大きい行為でもある。」



アルル「渡す方もそうだが特に格上から渡される方はかなりの苦痛を伴う。」



アルル「かつてイシュタル様がお隠れになる前にバアル様、アナト様に能力の一部を移譲された。」



アルル「その際の三人は皆いたたまれない状態に陥った。3日もの間もがき苦しみんだのだ」



アルル「それでようやくティアマトのリンクの強さが1段階上がったのだ。アナト様は赤いオーラが覚醒し、バアル様は赤からオレンジになった。」



アルル「そなたの今のレベルからではどれ程の苦痛を伴うか。。」



剛本「覚悟の上です。」



アルル「それに耐えてヤムを倒したとしてもその後はどうする気だね?」



剛本「私がヤムを殺した後はここの牢獄に入ります。」



剛本「そして私がエンキの手の者であると自白したと喧伝して下ください。」



剛本「それから魔神達も含めた全軍でエンキを叩くのです。」



剛本「私はそのどさくさで脱出します。」



剛本「下手に逃亡して魔神達を分散させるよりいいでしょう。」



アルル「何も出来ずに犬死する可能性も高いぞ?それでもやると言うのか?」



剛本は頷く。



アルル「。。。わかった。。。脱出には私が協力しよう。」



剛本「最後にふたつ質問があります。」



アルル「何かね?」



剛本「81区にもエンキ同様ナノマシーンを研究する機関があります。」



剛本「自分もそこで適合者になりました。」



剛本「それについてはどうお考えですか?」



アルル「81区の件はバアル様とアナト様がすべて取り仕切られておる。」



アルル「君が心配している様な事にはならないだろう。」



剛本「分かりました。ではもう一つ。」



剛本「我々は81区が実験台にされたと言う大義名分があります。では、あなた方のエンキに対する大義名分は何ですか?」



アルル「イシュタル様の仇敵と言うのもあるがはっきり言えば脅威だ。」



アルル「あの者は遥か昔よりコールドスリープを繰り返しては厄災を撒き散らす悪魔だ。」



剛本「200年眠っていたと言う?」



アルル「それが初めてではない。奴ら親子はそもそも遥か古(いにしえ)の氷河期の始まりを生んだとも言われる。それは数百年とも数千年とも分からぬ程の昔の事じゃ。」



アルル「前の目覚めではイシュタル様を創り出し200年以上の時を経て氷河期の終わりにまた現れた。」



アルル「これは何か意味がある筈だ。」



アルル「地球レベルで何か悪いことになるやも知れん。」



アルル「それ程の脅威なのだ。」



剛本「それ程の。。。」



剛本「イシュタラも人もますますいがみ合っている時ではない。。。か。。。」



剛本「わかりました。では同志を募ってくださいますか?」



アルル「。。。わかった。協力しよう。」



アルル「数が集まり次第連絡する。それまでは目立った行動は慎んでくれたまえ。」



剛本「わかりました。」



アルル「取り敢えずは私の居城に滞在するといい。」



剛本「お言葉に甘えさせてもらいます。」



ポン太「。。。大変な事になってきたなぁ。。」



アルル「アスタルト、この事はくれぐれもご内密にお願いします。」



アスタルト「。。。は、はい。」


話はまとまったが押し潰されそうな重い空気が流れていた。


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