第43話 ショウの試練

女神の門はその重厚な枠組みと内側の真暗な闇で悠然とショウを待っていた。



その外観を見ていると身がすくむ程にその姿は異彩を放っている。



そしてショウはいざ自分の番になると緊張してきていた。



息を飲み、ひと呼吸おいてから



ショウ「よし!行って来る。」



と、アナトに告げた。



アナトは特に表情も変えず一言「あぁ。」とだけ答えた。



そして門をくぐる。



門に入った部分は直線的に真っ黒な闇に消え光を一切通さないそこがただの闇でない異空間である事を伺わせる。



そしてショウが門の中に消えるとミネルバの姿も一緒に消えた。



それから10分程時間が経った頃。



突然ボロボロになったショウが女神の門からバアル達のいる表側に飛び出してきた。



ショウは不機嫌そうだ。



ショウ「。。。。ミネルバ。」



ミネルバ「何でありましょう?」



苦笑いするミネルバ。



ショウ「何でバハムート呼び出した?」



ミネルバ「え。。だってあのおじさん変なんですもの。。」



ショウの瞳が赤く光る。



ショウ「試練だって言ってんだろうが!?なんでいきなりスペシャルムーブぶっ放すんだよ!?お前は!」



詰め寄るショウ。



ミネルバ「だって!あのおじさん変なんですもの!」



そう言って目を潤ませるミネルバにショウはそれ以上詰めることが出来なくなった。



ショウ:。。。そりゃいきなり知らないおっさんに腐乱死体になられてさらにうじ虫まみれで詰め寄られたらミネルバには無理か。。



ミネルバ「た、tamoriだってビビッてましたよね?知らない人があんな事になって」



ショウ「知らないし訳の分からない事も言われたけどさ。。」



それを聞いてバアルはハッとした。



バアル「他守ショウ君。。君はひょっとして両親の顔を知らないんじゃないか?」



ショウ「俺は爺ちゃんに育てられたんです。両親は会った事もないし写真も残ってなくて。。」



バアル「。。なる程。。それで。。」



バアル「他守ショウ君。君が会ったのは亡くなった君の父様の幻影だよ。」



ショウ「え?」



バアル「この女神の門には入った者の親か子どちらかが現れて心を試すと言われている。」



バアル「その人は君に何か話したかい?」



ショウ「うーん。。穴の声を聞けとか?」



バアル「穴?」



ショウ「ミネルバ、あのおっさん何て言ってたっけ?」



ミネルバ「そう言えば。。天の穴?がどうとか言ってましたわ。」



ミネルバ「何か凄い怒っていて怖かったです。。」



バアル「。。。ふむ、よく分からないな。。」



ショウ「あの。。ミネルバを引っ込めてもう一回チャレンジしてもいいですか?」



バアル「うーん。悪いがそれは出来ない。」



ショウ「え?」



バアル「試練は月に一回しか受けられないんだ。」



ショウ「ええ!?」



ショウは慌てて門に触れてみるが門はコンクリートの壁の様に固くショウを拒んだ。



ショウ「そんな。。」



ショウは座り込んで肩の力を落とす。



ショウ「こんな所まで来て門前払いかぁ。。」



バアル「ミネルバの暴走を含めてきっと君はまだチカラの制御が出来ていないと言うのが門に受け入れられない要因のひとつだろう。次の機会まで人魚達と修行すればいい。」



人魚達「私達がお相手します。」



ズラリと先程から付いて来ていた5人の人魚達が整列する。



ショウ「え?ええ!?」



バアル「メロウ。先ずは君がメタモルフォーゼを教えてやってくれ。移譲や捕食を使わずに他守君自身のチカラを引き出すんだ。」



メロウ「了解しました。」



メロウはショウに近づく。



メロウ「他守さん。頑張りましょうね!」



ショウ「え?あ、はい。よ、宜しくお願いします!」



急な事で気持ちがついて行かないショウにバアルは語りかける。



バアル「それに君には折り入って頼みたい事がある。」



ショウ「頼みたい事?」

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