第72話 暴走開始 (アルフォード視点)
更新予定できておりませんでした……。すいません……。
◇◇◇
二人の態度の変わりように、内心俺は衝撃を受ける。
……そんなに、俺の表情は情けないことになっていたかと。
恐る恐る、といった様子でマリアが俺に告げる。
「そ、その、おつらいことを聞いてしまって……」
その表情は蒼白で、先ほどまでの激怒していた様子はいっさい見受けられなかった。
「まさか、そんな正常に物事が読みとれないほどに……」
一方のソシリアも、滅多に見ないくらい呆然としていて、逆に俺は怖くなる。
それだけ態度が急変するくらい、俺は酷かったのだろうか?
そう思いつつも、俺は何とか笑顔を浮かべて告げる。
「そう気にしなくて大丈夫だ。今はもう、そこまで気にはしていないからな」
実際のところそれが俺の今の気持ちだった。
もちろん、胸の傷が癒えたわけではない。
ただ、そんなことを気にしている状況でないのは、俺も理解していた。
──そんなことに落ち込む暇があるなら、サーシャアリアに意識してもらえるよう動いた方が、何倍も有益だと。
なぜなら、今はもう以前と違って、そばにサーシャリアがいるのだから。
それも、婚約がなくなった状態で。
だとしたら、俺がやるべきことは決まっている。
「何とかして、サーシャリアに意識してもらえるまで、押し続ける」
「あっ……」
誰かが、何か最悪の事態を悟ったような声を上げたが、俺の耳には入らない。
今までにないくらいのすがすがしい表情で、俺は続ける。
「悪いがソシリア、今日だけ俺外していいか? 少し、サーシャリアへのアピールを考えたい」
「え、ええ?」
ソシリアはどこか困惑したようにも聞こえる声を上げる。
しかし、すぐにそれを肯定の言葉だと判断した俺は、すぐに動き出す。
「助かる。やはり、今以上に押さないと。相手は鈍感なサーシャリアだからな」
……しかし、やる気にあふれる俺は気づかない。
俺のやる気に比例して、ソシリアとマリアの顔から血の気が引いていることを。
「申し訳ありません、サーシャリア様。私はなんという……」
俺が部屋から出る直前、どこか懺悔にも聞こえる声が聞こえた気がする。
しかし、すでに意識がサーシャリアへと向いた俺の耳に、その言葉が入ることはなかった。
「よし、とりあえず一日サーシャリアの世話ができるように、仕事を片付けよう」
……俺が去った部屋に残されたのは、最悪の予感に震えるソシリアとマリアだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます