第49話 最期を迎える俺と案内人 上
俺は目を覚ます。普通に寝起きたというか。いつも通り起きる感覚で普通に起きたのだった。
そして、何だろう。ここ――とても気持ちのいい場所。見た感じ、草原だろうか。風が気持ちよく抜けている。これは、死後の世界?まさか、長瀬と、同じようなところに、俺も来てしまったのだろうか?
俺は、ゆっくり起き上がる。体は全く痛くない。ケガもない。ジャンプもできて、自分の思うように、身体も動かせる。どうやら……本当に、死んだらしい。
確か、記憶的には、長瀬を助けて、そのまま、哀れに落下。階段下まで、転がっていき――死んだ。
だから、もし生きているならこんなに動けるはずがない。もし生きていたとしても、包帯ぐるぐる巻きで病院のベットで固定されているだろう。だから、俺は、死んだ。多分間違いないだろう。
「長瀬の言う通りだったな。ちゃんと死んだよ俺」
ボソッと俺がそんなことを言ったところで、誰の声も聞こえない。ちょっと寂しい感じもしたが。俺的には慣れている空間。もしかして、これからここで、過ごせるなら、現実よりゆったり楽しんで、生活できるかもしれない。そんなことを思っていた。
「で、あっているのかな?俺ちゃんと死んだんだよな?」
誰もいないのは分かっているが。もう1回つぶやってみた時だった。
「――おー、起きたか。若いの」
「はい!?」
いきなり自分の上というか。空から声がした。いやいやどっきり?なんだよ。やめてくれよ。それこそ心臓止まって再度死ぬぞ。
「悪かったのー。こちらから派遣した若いのがまさか。そなた。若いのと、知り合いだったとは、そこまでは考えておらんだわ。途中で2、3回キミからも、交信を受けたが。こっちも大変でな。対応する前にお前さん死んじまったから」
再度空から声がする。どこからかはわからない。見る限り――人はいない。空しかない。
ってことは――死後の世界とかで居そうな人と言えば――人ではないかもだが。
「……もしかして、こっちの神様?」
「いい勘じゃの。そうじゃ、私がこちらの世界を仕切っている神じゃ」
「自分で言った」
まさかの当たったよ。っかどこに居るんだよ。
「神様なんじゃからいいじゃろ?」
「……まあ」
っか、俺は、なぜ、神様と話しているのだろいうか。これ死んだら普通の事なのか?
「そなたには、悪いことをした。ちゃんと今は、案内人を謹慎処分中じゃ」
「――謹慎処分中?って、もしかして長瀬を?」
「そうじゃ、活動すべて禁止。部屋に閉じ込めておる」
「…・…閉じ込めている?」
「そうじゃ」
「――っか、なんで俺、神様と話しているんだ?」
「そうじゃ、そうじゃ、若いのに、伝えなければならないことがあったな」
そう声がすると、突然だった。目の前に、タブレットだろうか。なんか画面が突然現れた。さすが、死後の世界なんでもありだ。っか、もしかして――最先端いってる?この世界。
が、それより気になったのは――。
「おい、これ……なんだ。どうなってるんだ?」
俺は画面を見て驚いていた。
「お前さんじゃ、現実世界の」
「どういうことだ――俺は、死んだはず……じゃ?」
「そうじゃ、99%死んでおる」
それ死んでるよな?
「ほぼ死んでるじゃん――でも……これ、今なのか?」
「今じゃ。1%の確率の中を生きておる。まあ、ほぼ死人じゃな」
突然現れた、画面の中には病院だろう。多分、病院、たくさんの機械につながれて、体中包帯だらけの俺がいた。
包帯だらけで顔もちゃんと見えないが。俺とわかったのは、ベットの頭のところにある、名前が見えたから。
「
「これは――どういうことだ?」
俺は、空に向かって話しかける。
「こちらのミスじゃからな。お前さんには、悪いと思っておる。だからじゃ、お前さんに、1度だけ、現実世界に、戻るチャンスを与えようと思っての」
「――戻る?」
「そうじゃ、こちらの出すミッションを、すべてクリアできれば、お前さんを生き返らせてやろう」
「……やらないと言ったら?」
「それも構わん。まあ、あのお前さんのところに行った、娘を処分するだけだ。そして、お前さんは、次の誰かの人生のために、リセットされ。現実世界に、戻るだけじゃ。まあ、ミッションを行うと、リセットの期限が過ぎるからの、失敗すると、二度とリセットされなくなるぞ?」
「――――処分?リセット?処分ってなんだ?」
いろいろわからないことが多すぎる。
「こっちの世界でもな、問題児は、処分する必要があるんじゃ。あちらの世界とごちゃ混ぜになってしまったら大変じゃからの」
「――もしかして、長瀬は、近くに居るのか?」
「いや、おらん。なんでじゃ?」
天から声が聞こえる。俺は、素直に答えるべきか、一瞬悩んだが。答えた。正しいかはわからなかったが――もしかしたらという直感。
「――――処分するなら――俺がするというのは?」
「……ほう。なるほど」
「どうだ?」
「じゃが、あの娘は、すでにこっちに来て、数年じゃ。新人のお前が何かしようにも、歯が立たんぞ?いや――うむ?。そうか。そうか……わかったぞ」
「……なんだよ」
「若いのを現実世界に、戻す条件を決めたぞ」
「なんだ?それは」
「ミッションをクリアして、あの娘のところにたどり着き。若いのがあの娘を消せたら――現実世界に戻してやろう」
「……なるほど」
「まあの、わしも鬼じゃないからな。ミッションは――難しいぞ?」
「言っていることがおかしいぞ?」
そこは簡単――じゃないのか?
「ふぁふぁふぁー」
楽しんでらっしゃる?この神様。
「もし、ミッションクリアして、長瀬のところにたどり着いたけど、俺が負けたら?」
「そりゃ、若いの。お前さんの現実世界での、命がなくなるだけだ。で、まあ、こっちの世界でも、リセット期限過ぎるからのー。用無しじゃの。来世とかで、現実世界に戻ることなく。永遠に、この世界に彷徨うそうなるぞ?若いの。まあ楽しいかもじゃがな。今のこの感じの中で過ごすんじゃ」
「なるほど、問題ない」
っか、今の空間なら過ごしても問題ないかも。いい空間だもんな……。
「やるか?」
「――あっ、もちろん」
あぶないあぶない。ちょっと心地よくなっていた。
「おもしろい。じゃ、頑張るんじゃ。若いの」
すると声は消えた、画面もなくなり。起きた時と同じ周りは草原だけだった。これは――どこに、行けば?ぱっと見どこにも矢印みたいなものはない。わかるのは――何も――あっあるわ。
「――あそこが怪しいな」
俺が見つけたのは、結構先にある、大きな大きな木がある場所だった。
俺はそこを目指して1人で歩く。こっちの世界なら、移動とか、考えるだけでできるのかと思ったら――そういうことは出来なかった。微妙に便利じゃない。
でも――
「お茶が飲みたい」
と、言うというか。思えば、お茶が出てきた。ちなみに、ジュースも指定すれば、ちゃんと出た。また、こちらでは、年齢がないのか、お酒も言ってみたら、普通に、出てきた。もちろん飲んではないが――さらにさらに。
「休みたいからソファー出して」
そんなことを言う。思えば、その場にソファーが出てくると。なかなか便利ではあった。いや、そこまでできるなら瞬間移動もさせてくれよ。
ってか、移動だけが制限でもされているのか。移動に車や自転車。と言ったが、それだけは――何も起こらなかった。
これは何の基準なのかは知らないが、実はこっちの世界いい加減なのだろうか?とか思いつつ。俺は歩き続けた。
◆
結局、何時間歩いたのだろうか。疲れは無かったが、時間を結構使った気がする。
でもとりあえず、俺は、思ったよりも大きな大きな木の前に立った。って、来てみたらでかいわ。
そしてあることに気が付いた。
「なんか……これ――あの物語に、似ている?」
俺が木を見つつ思っていると。
「おう。来たか。お前か、神様に提案した人間ってのは」
「――なんか。木がしゃべった」
少し前に空?から話しかけられたからか。そこまでは驚かなかった。でもちょっとは驚いたな。
「おう、いきなり俺を認知するとは、ちょっと見込みがあるか?」
「――で、俺は何をするんだ?」
「とりあえず、進め、進むんだ。そうすれば道は開ける。以上」
「……はっ?」
「……」
それ以来、目の前の大きな大きな木は、、、話さなくなった。いやいやいや、何だったんだ?今の。ヒント?
「どーしろいうんだよ!」
とりあえず俺は、文句を言ってからソファーを出して、とりあえず木のところで休息をとった。いや、瞬間移動できなかったから疲れたし。
そんなこんなで再度木が話し出すのを待ったが――そんなことはなかった。
が、その時。横になり目を閉じたときにふと気が付いた。
「やっぱり――物語と、似ている?似てるよな?」
俺は、長瀬と死ぬ前にも、話していた本を思い出した。
「確かあれも……」
そして俺はその自分の勘を信じた。というかそれしか思いつかなかった。俺は起き上がると、周りを見て――直感で歩き出した。
◆
それは、あたりだったのかは、今はまだ、わからない。けれど、俺が歩き出したことで、こちらの世界でのことが進んでいった。
あの空から話していた、神様としゃべる木以外に――何だろう。ゲームでいうNPC?だろうか。
こちらの世界の住民?はじめ見つけた時、会話とかできねえよ。と、思ったが。普通に話せて拍子抜けし。
そして、その人物から、指令。ミッションが出た。はじめの神様と話した時のように、タブレットみたいなのが現れて出てきたのだった。
「やっぱり――物語に近い」
俺はそこで確信した。
これは、あの物語と似ていると思えばいいと、が。それだと、数年ほどかかってしまいそうだが――これ制限時間とかあるのか?と、思いつつも。ミッションをこなす。
と言っても、ミッションをクリアしたからと言って、何か聞き出せる、出てくるとかではなかった。どうやら特定のミッションを見つけるしかないようだ。なんというか。あたり外れ?というのか。受けなくてもいいミッションもあるらしい。なんとまあほんとゲームみたいな死後の世界だ。
とりあえず俺は――NPC。でいいのか?こちらの世界の人を見つけると、どんどん話した。現実世界では、ありえなかったことだが。こちらの世界では、やりやすいというか。あまり気にならなかった。俺を知っている人はいないしな。だからどんどん声をかけた。
そして、はじめ?だからか、出てきたミッションは、荷物運びや、農作業。収穫の手伝いと。本当にゲームをしている感じだった。良いことに、何をしても身体が疲れないようなので、どんどんこなしていけるが、さすがに、いきなりヒントというのは、出てこなかったな。かなりの数ミッションこなしたし。
そしてふと、ミッションの間に周りを見て見た。
「…………ここ、なんかすごいな」
そこは村みたいな感じになっていた。
――死後の世界というより。石器時代言うのか――違うな。異世界?とりあえず普通に、俺みたいな人の形をした人が動いていて――動物もいる。人?でいいのかな。わからないが。とりあえずなんかそんな場所を見つけたのだった。
そこは水も流れており、草木もある。ホント、不思議なところだった。
って、こんなところで、のんびりしているわけにはいかない。俺は、まだヒント。というか。手掛かり1つも、見つけていないのだから。
また歩き出すと、ちょうど目の前の人物が、ミッションを出してきた。
「――薪を運べね」
ほんとゲームかよ。と、俺は思いつつも。そのミッションを難なくクリア。
すると、不思議なことが起こった。
「……な、なんだ」
急にまた、画面が現れたと思うと。その画面に、石と、いう文字が表示された。
「……石?」
画面を見て俺、ちょっと俺フリーズ。
「……石――石?え。これヒント?まさか」
つぶやいたところで何も変わらない。どうやらこれが――ヒントらしい。
「石のところに行けということか?いや――でも、石なんてそこらへんにあるんだが……」
周りを見れば、どこにでも、大小さまざまな石がある。行け。というより、こうやって、ヒントを見つけていて、組み合わせるのだろうか。とか、俺は考えるが――さすがに、1つだけでは何もわからない。
「もしかしていろいろこなすことでわかって来るのか?」
俺はそんなことをつぶやき。結構これ――時間かかりそうなどと思った。
いや、全くわからない。今のがヒントだったのかも怪しいし。
っか、本当に、本の物語みたいに、何年とかかるのだろうか?とか思いつつ。俺は、止まっていてもなので進むことにした。
「――にしてもどこ行きゃいいんだよ!」
一応文句も言いつつ俺は、しばらくミッションをこなしていた村?を後にした。
少し歩けば、また草原というか、今度は、砂漠みたいな感じのところを歩く。NPCもいない感じ。
っか。突然、誰もいなくなった感じ。風は気持ちいいが。
そして、まっすぐ先は――何もない。マジか。と思いつつも俺は歩き続ける。いや、動き回らないと駄目な感じだからな。とか思っていたら。突然ミッションは出てきた。
っか、突然、人も現れた!いやいやいやいや、ホント、絶対なんでもありじゃん。この世界と、思いつつミッションを確認すると――。
「荷物を運べ。ね」
それだけだった。そりゃ、魔物を倒せとかは、無理だが。こういうミッションが続くのだろうか?
にしても、どこまで、運ぶのだろうかと、思っていると。現れた人物は、1つも荷物は持たず。歩き出す。荷物は地面に置かれたまま――。
いやいやいやいや「少しくらい自分で、持てよ」と、俺は言ったが、そういう言葉は聞こえないのか。ミッションだからか。人はどんどん歩いて行く。見失うとミッション失敗とかもあるかもしれないと思い。俺は急いで荷物を持って追いかける。
――俺――何してるんだろうか?
先ほどまでは、すぐ終わるミッションだったが、今回は、終わりがわからない。どこまで歩くんだ。と。
これ、疲れとか出るなら絶対できないわ。と思いつつ付いていっていると。砂漠の終わりが見えてきた。どうやらあそこまでらしい。
「ふー」
俺は無事に荷物を届けると、クリアになったらしい。すると、連続になるが、ヒントが出た。
「……鈴?」
――いや、マジでこのヒント意味わからん。石の次は、鈴?鈴?まあ、鈴は、今までの中では見てない気がするが――――あっ、見たわ。家畜かなんかの動物に付いていた。
ってことは、やっぱり出てくるヒントの物が集まっているところがあるのだろうか?などと、俺は考えつつ。1つ試していなかったことをしてみた。
「ドーナツ食べたい」
すると、ボン。というのかはわからないが。ちゃんと出てきた。食べ物はなんでも出てくるらしい。
ちなみに、先ほどの村で食べ物などが売っているところもあったのだが。あれはどうやって、買うのだろうか?今のところミッションをしても、お金みたいなものは、出てきていない。一文無しだからな。
まあでも、そういうのも、そのうちわかるか、と一口食べてみる。
「……なるほど、ちょっと違うか」
俺は異世界の料理?を食べてから、また俺は歩き出したのだった。
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