Side A:(3)

 今でも、良く死ななかったと思うよ。

 仲間ん中で、一番、デカい怪我をしたのが俺だった。

 まぁ、その頃の仲間ん中では……俺が一番弱かったしな……。

 だが、たまたま、その光景を見たお姫様は……俺が一番必死に戦ってたように見えたらしい。

 お姫様みずから俺の怪我の手当をしてくれたよ……。

 そして、俺達はレプティリアまでの護衛を頼まれた。

 レプティリアに着けば……結構な額の礼金が出るっても言われたよ。

 旅の2〜3日目で、お姫様は気付いたんだ。

 お姫様の護衛の兵士や身の回りの世話をする召使も……そして俺の仲間達も……お姫様からすりゃ「田舎もの」だ。

 王都出身のヤツは、ほとんど居なかったんだ。

 だが、俺は……王都出身で……小役人とは言え、一応は役人の子なんで、そこそこは学が有った。

 お姫様と話が合うのは……俺だけだった……。

 翌日には、お姫様は気がふさいでるような様子になってた。

 これから嫁入りする相手は、とんだ田舎者じゃないのか?

 そう思うようになってたらしいんだ。

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