三章 連合国編
第25話 連合国の現状
連合国は、大陸中央部に位置する国家である。
もともとは多くの小国が乱立する場所だったが、神国・帝国・王国・魔国に囲まれている立地上、いつ攻められてもおかしくないということで、団結を主張したバルゼル家を中心とする連合国となった。
連合国の全ての家に上下関係はないとされているが、地理的にも連合国の中心で、団結を主張した張本人であるバルゼル家だけは特別で、連合国の結成からこれまで常に盟主として連合国を動かしてきた。
今代の盟主であるグラン・バルゼルも優れた指導者であり、彼が盟主でいる限りは連合国は安泰だろうと言われていた。
だが、バルゼル家を中心とする国家体制を心良く思わない者もいた。
それはクレアの元家族だった。
クレアの生家であるレーナン公爵家は、連合国が生まれる前の小国時代に最大の軍事力を持った家だった。
連合国結成時も、結成の立役者であるバルゼル家と、軍事力のレーナン家のどちらが盟主になるかで対立が起きかけたほどだ。
その時は、当時のレーナン家の当主が、盟主の座はバルゼル家に譲り自分達は軍事に専念すると宣言したおかげでことなきを得た。
しかし、世代を経るごとにレーナン家の家臣や周りから、「レーナン家の力のおかげで連合国が成り立っているのだから、レーナン家が盟主になるべきだ」という声が大きくなっていた。
現盟主グランは、小国が集まってできた連合国では他国と戦争になったら敵わないと考え、商業的なつながりを重視した外交をしていた。
その結果、戦争の機会が減ったことも彼らの不満を増加させる原因になった。
今の連合国が荒れずに保たれているのはレーナン家が、バルゼル家こそが盟主に相応しいと公言しているおかげだった。
このようにギリギリで保たれていた連合国のバランスは、レーナン家の反乱という形で崩れることになった。
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