カモフラージュ

Lie街

前書き

不倫

夕日が沈んで月が登っている。星が散りばめられている空はプラネタリウムのようだ。

「奥さんはいいの?」

彼女は艶やかな瞳を瞬かせながら言う。

「まぁね。今日は遅くなるって連絡したし、大丈夫だよ。」

「そう…。」

彼女はスマホの画面を見ながら呟く。

「でも、最近は遅くなり過ぎじゃない。」

たしかに最近は遅く家に帰っているし、それは不倫を疑う原因になる可能性は大いに有り得る。

「何とかなるよ。」

私はからりと笑った。しかし、その奥に潜んだ微かな不安を悟られてはいまいかと不安になった。

「私は一人暮らしだからいいけど。」

彼女は少し遠くを見た。薄めた瞳からは夕方の空のような哀愁を感じた。

信号機が青になって2人は歩き出した。私の方が少し速く歩いているようである。

「明日も学校?」

「当たり前でしょ。」

彼女の表情が微かに動いたのを私は見た。

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