36-騒がしい
貴族が来るのはおかしくないが、子供を探す貴族。
「兄妹の2人。父親がうちで働いてくれていまして。」
従者が喋る後ろでニタリと笑う男。よく馬車に入ったなという幅。
「横に広い。」
覗いていたセリが呟くと、カナンのツボに入ったようで噴いた。
貴族にはありがちな体型らしいが、歩きづらそう。コケたら雪玉になって転がれると思う。
そう続けるとカナンが、ツボに入って動けなくなった。
ちょろい。
ロードがすっとセリの目を塞ぎ、「見ていると穢れる」と言い切った。とりあえず礼拝するのに中へ入ったようだ。
「このまま帰るかな?」
セリは何もなく帰って欲しいと思うが。探している素振りの従者達を気にしつつ、部屋で待機する。カナンもロードも希望的観測はしない。
「キースに挨拶したいって部屋に来るとか?」
「じゃなくても、覗きに来たら意識を刈り取れば良い。」
先手必勝。
言い訳は、“怪しかったから”で済むらしい。カナンとロードだったがただならに雰囲気を察したらしく。
結局、睨み程度で済んだ。
迷子の保護、知らせて欲しい事。
寄付をして帰るらしい。
シュルトが接触したところ…
『こんな僻地ですから、働らき手がおらず。』
「人を紹介してもらえると嬉しいって、話してたワ。」
商人に働き手を頼むのは、まあないわけじゃ?
キースはあきれて聞く、
「子供でも、家族でも良いって?」
「ソウ。子供の面倒は見れるのかしらネエ。」
つまり、後ろ暗い感じがする。
獣人なら人族の国で権利を得ていない。人族至上主義を掲げるせいで、獣人が国民の権利を得るにが実質無理らしい。
詰まるところ、外交問題。
「グスタフの梟が飛んでくれれば、極北の城へ今日中に知らせが届くとして。2人の兄妹を極北の城へ連れ帰る。」
それがまず最優先だ。
帰還は、転移魔法で。転移魔術の魔力、2人分増えるとその分負担もある。その補助のための魔石だ。
魔石への魔力補給をセリとロードそれぞれがしている。
彼らのお父さんの捜索は、違う部隊が送られての救出任務になる。
あの兄の方がすんなり連れて帰れるか、暴れそうだなとセリは思う。
起きてからの説得に手を焼く予感がして、ため息をついた。
けど、最善だと疑ってはいない。
敵も救出の人数がわからない場所に、突撃するほど貴族を甘く見ていないつもりだ。
(帰り際にでも、運命新関係のシスターに挨拶できると良いけど。)
そう思いながら準備している。特に切迫もしていない状況のため休憩を入れながら兄妹が起きるのを待っていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます