31-元鉱山
3日の滞在後、極北の城へ帰る。
「このまま帰らないよ?」
そう言ったのはキースだった。
「野菜とかもらったから物資は大丈夫ヨ!」
シュルトもそのつもりで、準備していたらしい。
何か買ってくれてたら、嬉しい。教会の資金繰りが良い時ってあまりないから。
怪我人や支援をしていれば尚更。
暮らせれば良いと清貧も良いけど、子供達には肉もある暮らしが望ましい。
雪も落ち着いているので、交流が始まるのだろうから心配はしていない。
もう遠くへ行く身なので、手紙を送れれば良いだろうか。
(目標、お布施できるくらいお金を稼ぐ!)
冒険者登録をしたいが、今は薬草の勉強の機会を大事にしよう。
そうセリが気持ちを新たに決心していると、馬車が通れそうな道に出た。
「どっち行くの?」
人族の国の方へ、指差された。
側にいたロードが、セリに訊ねる。
「行った事あるか?」
「一度、運命神を祀っている教会へ回復薬を運びに行った。」
他の教会と一緒になっている大きな礼拝堂もある場所だ。
「最果て教会って呼ばれている、巡礼地して知られている場所。」
その時は、川で上って行って1日、馬車で半日の道のりだった。
獣人が悪目立ちする土地柄だ。貴族の横暴も多いため、冒険者は避けるものも多い。人族至上主義・思想の影響か。
「オレは隠れようかなー。」
「冒険者で通るでしょ?」
「教会の影響が強いから気にしなくて良いと思うけど。」
耳を隠す格好が多いが、庶民には適度に交流している仲で貴族が絡んで不味い状況になればコッソリ逃すことも多い。
…と教会のシスターが言ってた。その人も獣人さんで鼠系が多くいるのよと教えてくれた。
厳格には所属していないような位置、教会と関係しているから人族の国
ってだけで思い入れがない。
その国の、どこに行きたいのだろう?
「グスタフが鉱山になってたところに寄りたいって?」
「地図にあった場所に寄って、教会に行く道を取る。」
ドワーフの地図にあった場所の調査もグスタフの仕事に入る。
建て前かも、けど興味があるのは確かだ。
「徒歩での移動は、3日ほどかかるわネ」
「舟なら1日でいけるかもなあ」
シュルトの確認とカナンのため息つきだった。聞いている情報を出しておく。
「川で行ってたとしたらここ、魔物の目撃が多いから注意。」
セリは当時、川の魔物の情報は集めていた。冒険者の心得、情報を軽視するな。通った時にも警戒した場所だ。
「魚の魔物?」
「陸に上がってくる魔物も多い。群れでの狩りをする魔物もいて『出会ったら舟を諦めろ。陸に上がって振り向かず走れ。』って。」
「危険な魔物かあ」
「川素材を採るって、慣れてる冒険者には人気スポット。」
そのおかげで、川を渡っての商売ができるのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます