第十話 衛生兵


衛生兵向けの講義は、食用キノコより

状態異常回復の薬を作る材料として話が進んだ。


見分ける方法は

匂い


「鑑定の魔法を使える者に確認が最適」と付け加えられた。


見本のきのこが机の上を周るがセリには違いが、わからない。

ロードはわかるらしく、関心していたセリに


「両方、食えるがな」と言われた。

毒物耐性があれば多少食べても大丈夫だとか。


子供や弱っている時には、痺れが出るきのこを手に

「美味しいの?」

「別に美味しくない。」


この、きのこを調理する日はこないだろうと思った。


「香りや魔力の違いで、きのこの薬用の区別が…」

調合師ならわかるらしい。獣人の臭覚も正確だ。


席にいるのは、犬獣人が多いが兎の獣人を見つけた。

リリンの親戚の人?


体格の差があり小柄な人が前の方。

中間地点に揺れるうさ耳。衛生兵のまとまり(組分け?)とは外れている。


「薬用の栽培がうまくいかない場合、魔力の状態による失敗なので

食用のきのことして料理にいれる。」


(食べるんだ)

いや、すでに食べているのかもしれない。

この城で栽培、薬用まで育たなかったきのこは、スープの具材になったのか。


きのこの栽培は、難しいときく。


ここで薬効成分があるものの研究をしている説明と

穴を掘っての栽培状況を紹介していた。


孤児院でもできるか考えてみたが、設備と場所が難しい。

土魔法があればあるいは?


そう思い返していると

砦でもきのこを見たのを思い出した。


記憶を探ると

「洞窟のを食べてた?」


“大人の楽しみ”という名でおっちゃんたちが食べる会。


お腹すいた!と文句を言っても分けてはもらえない。

毒性があったら大変と。子供は禁止されていたけど


解毒薬付きで

晩酌用きのこと言っていたもの。


特徴がなく、似たのがあってわからないが


(先に解毒薬を作れるようになりたいな)

あの時のきのこを食べてみたくなった。


“大人の楽しみ洞窟きのこ”

という名前の、きのこはナイらしい。


(きのこの奥は深い。)食用を目に焼き付けるが、自信がない。


そんなセリの葛藤とは別に、採取方法に話が移った。


風魔法、土魔法を推奨し

水魔法では味が落ちると食べ比べの例を出す。


獣人の大部分は魔法を使えないと聴くが、魔道具の説明に移った。


きのこの採取で魔力を使わないためだろうか。

便利?装備ひとつ持っていなければいけないのは不便か。


保護ゴーグル、採取袋、

臭い消しの説明。


「鼻が良すぎて、一部のきのこが発する臭いで気絶の可能性がある。」


へえ、貴族の香水で鼻が曲がりそうだね。

獣人の側仕えがつかない理由だと思ったセリだった。


(自分も臭い消しを使えば、

息止めずに済むか?いや近づきたくないな。)



魔法の可能性、魔力の扱い、

魔導具への興味が深まる話だった。

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