第八話 調味料
食後、セリは本を見ている。
調味料の本があると聞いてシュルトに探してもらった本だが
内容が頭に入らず、チラッとロードの様子を観察する。
周りの人間では居なかった体格の良さ。
冒険者は大きいと聞いてきるけど、セリのまわりは細い人が多い。
食に困ることもある土地なのと、孤児院に関わりあいもある大人が高齢で
あったことも影響している。
砦の人達を含めてで、貴族のずんぐりとは別。
恵まれた体躯と筋肉量を肌で感じてmkり。
セリはロードの事を、“おおらかな牛”をイメージしている。
普段はのんびり、気ままに生きているが一旦怒りが溜まると、大変だ。
働きもので、大きい体躯は普段では想像つかないパワーがある。
その傾向を見逃さないように付き合って、側にいるのが現状。
牛より理性的なはずだ。
元々魔物の血を持って凶暴性は秘めているが、大事な労働力。可愛がっていれば付き合いの良い生物。
怒りを向けられるより、激情を堪えようとしているように見える。それは、子供の癇癪のように感情的に見えた。
その感情が、セリへの溢れた気持ちだと思えた。
話は通じるようなので、その分を受け取れば穏やかなままだと見ている。
普通、話は通じると思ってる?
同じ言語で国に住んでても、わからないのが貴族ってヤツだから。
ロードについては怖くはないんだけど。
よくわからないなあが、本音。
ぽすっと体を預ける
ここは安定してて良い。
私が座っても、誰にも取られない。
ロードの膝の中で、お菓子に使う香料のページを見ながら時間を過ごした。
おやつの時にグスタフが顔を出す。
「衛生兵向けに講義をするんだが、参加しないか?」
「できるなら参加したい。」
勉強の機会というやつだ。誘われて断る理由もなかった。
「何の勉強?」
「きのこだな」
薬草より保管がしやすいと聞いたが、毒性もある。
「薬用に使えるの?」
興味はあるセリだが、採取には見分けられなければ危険。
香りの良いものが、食べれるとは限らない。
「ああ。栽培もしている。この辺で採取できるものを知らないか?」
「あまり。子供には近づかないように言われてて。」
胞子を吸うと状態異常を起こすもの
触って危ないきのこ
それと、大人が隠れて食べるために子供には秘密。
子供には危ないから、近づくなとその後ろで炙ってあり、酒がある。
確かに、毒性があれば危ないし子供のが食べる本数が同じでも危険なのだけど、大人のご褒美扱いでふわっと美味しそうな匂いが…
「ズルい。」
思い出したきのこ料理は
乾燥したきのこが、食事に上がることは少なくなっている。
スープにちょろっと入る時には、香ばしさはない。
「今日はきのこ料理してみる?」
シュルトの提案に、頷いた。
「キノコは乾燥だとスープが美味しい。」
「食感を重視するなら、生だと炙ったりで美味しいけケド。」
「栽培してるものをもらってこよう」
「アラ?薬用じゃないの?」
「いいや、酒のつまみ用だ。」
極北の城内で栽培している物も多いらしい。
「葉物は知ってたケド、食用にキノコまであるのね?」
「伝手だ。」
きのこが食べられるらしいー
「パウダーにしてある調味料をスープに入れると美味しいのよ?」
本を見ながら、調味料を教えてくれたのだった。
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