番外 シュルト(商人)

獣人は、人間に良くない印象を持つ。

戦いの歴史があるからか。


そんな記憶も薄れている南部には、人間も多かった。

ケド、北部、極北と言われる地域はチガウ。


人族至上主義をかかげて攻め込む、隣国と戦中にある。

極々一部の人間と言えど、印象は悪い。


そんな場所にワタシは縁があった。

うちは商売をして旅暮らしをしていた。


弟のひとりが病を悪化させてしまう。

極北の城と呼ばれるところでの療養に、ワタシが付き添った。


その関係で、ここに商売をしにくる。

長年で親しい関係を築いて来たつもり。



極北の城に来る商人は決まった顔だ。

冬の寒さを凌ぐため、ここには関係者、近所の人達が集まる。


近所と言っても雪で脚を取られて、馬で半日の場所が近所の場合、もあるから違和感があるのヨネ。


ここの設備は最高峰。魔導具、整備士、防衛面も。


医療棟で弟のひとりが世話になった縁。

成人になってから会って、議長エルフアンドレアスに


「大きくなるんだぞ。」と頭に手をやられていた。


エルフは500年生きると言う。

15、6なんて子供の範囲なのカシラ。


議長エルフは、300歳で中年だと言ってたけど

30歳に見えるのは、詐欺と言いたいのもわかるワ。


ドワーフは4、50の親父のまま400歳と言われても分からないわヨ。

年齢を数えていなかったりするし。ある年齢で引き篭もる慣習がある。


そう言う点で人の年齢は読めないのでショウネ。



今回、ロードが『極北の城』に来ると聞いた。

竜人がこの地にやってくるのは珍しい。

引き篭もりの一族が旅する理由は、番探しと思われるワネ。


そうそう、会えるものでもないけど執着が強いカラ探すし、

見つけたら離さない。


もうひとり、番に執着する狼獣人の方は元気かしら?

会えれば、特殊な薬を融通している。今回も売るつもり。


あの男の存在も、浮いてるわヨネー。

犬獣人が多い中1人だけ狼って、そうならざるをえないとか?


まあ任務柄って感じもするし、金払いが良ければいいのカシラ。


ロードの方は、

変わった物を欲しがるし、売りたがりるのにケチはつけない商売相手として面白い相手だ。


以前、ロードが護衛として旅に同行して、気心も知れた。

久々に会うのは楽しみだ。主にお宝を貯めてるところね。



病棟の子たちの訪問の前に挨拶に行けば、

議長アンドレアスに頼まれごとをした。


『人間の少女を保護したので様子を見て欲しい』


一瞬、隣国の子と思ったけどその辺は突っ込まなかった。


“商人の眼で観察を”

この城に人間は少ない。長年の付き合いが多く、


50の大人を子供扱いするエルフには分からない年齢や習慣を見て欲しいらしい。


まだ来たばかりで警戒してるの?


病棟の部屋で会った印象は“大人しい”だ。

虐待されていた?身体だけではない精神も傷を負う。


細く、中性的な子。


あまり話してくれなかったけど、人との交流はあった環境ダワ。


魔導具のない環境ってどんな状況?

貴族ならお湯の魔導具くらい見てるダロウシ。


その手は働き者の手

戦って来た者の瞳だ


結論、一般人ではないケド脅威を感じない。

人間と言ってもフーンで終わり、嫌悪も下に見る目もなかった。


あの子セリの何が気になるノ?」

「ロードの番だ。」


!??


それは気になる。


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